精神分析と自閉症 フロイトからヴィトゲンシュタインへ

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精神分析と自閉症 フロイトからヴィトゲンシュタインへ

  • 著者名:竹中均【著】
  • 価格 ¥1,815(本体¥1,650)
  • 講談社(2015/08発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062585378

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内容説明

フロイト、ヴィトゲンシュタイン、自閉症理解の変更を迫る画期的試み! 永らく精神分析の「躓きの石」であった自閉症。両者の不幸な出会いを、フロイト思想の原点「心理学草案」に戻ることによって解消し、さらにはヴィトゲンシュタインの思考を媒介に、新たな自閉症理論を構築する。(講談社選書メチエ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

evifrei

21
ヴィトゲンシュタインの解説・自閉症についての記述など個別的にみると深い洞察が示されているのだが、記述に全体的な統一感が欠けている印象を受けたのは意欲的なテーマであるだけに少し残念。だが、フロイトの精神分析では捉えることが困難であった自閉症として表現される「世界の構図の把握することの困難さ」をヴィトゲンシュタインの思考(「像」や「言語ゲーム」)を媒介にして接近する事を試みる点は間違いなく面白い視点だ。自閉症に対する新しい切り口であると同時に、「普通」の人々が把握する世界像を改めて鮮明にしたといえる様に思う。2020/07/25

藤月はな(灯れ松明の火)

16
今では科学的根拠を見出せないと判断されているが解釈は無限大にあるという精神分析学を築き上げたフロイト、メラニー・クイーンの前エディプス期における妄想ー分裂とそれによって派生するマゾヒズムとサディズムの表裏一体の関係という心理学の紹介から「人と自分は異なる存在であるということ」が区別できずにその場に応じた対応が取り辛いとされる自閉症の特徴をライトノベルの登場人物や世界観と絡めて論じた本。しかし、現実でもコミニケーションの間が取り辛い、他人との認識がずれているのを把握しているのはあるけどな・・・。納得いかない2013/01/25

月をみるもの

12
「論考」は自然科学の言語(自然と言語の写像〜意味)を、「探究」は文系諸学の言語(その中の差異〜価値)を扱っている。いわゆる「自閉症」の人たちは、後者を理解するのが難しい。 のかもしれない。2023/02/20

袖崎いたる

10
自分の子供が自閉症者でだった事から、比較社会学的見地により自閉症を研究する著者の本。自閉症者の世界を健常者から見て劣等だとするのでなく、あくまで差異として比較する。フロイト、ラカン、ヴィトゲンシュタインと巡って著者が至るのは、精神構造や言葉の使用に関する自閉症者の異常ではなく健常者の不可思議である。なぜ健常者は<本質=全体>を世界認識に先立たせられるのか。確かに謎だ。また、本書でヴィトゲンシュタインに対して実存から世界へと繋げるという意味で、セカイ系ないしは実存哲学者だったという視点を得られたのは大きい。2015/10/01

またの名

3
ラノベ論があるからといって軽いノリの本でもない。フロイト「心理学草稿」の一次過程と二次過程の峻別を丁寧に読み解いて、ヴィトゲンシュタインの「真・偽」と「意味・無意味」の問題群を重ね合わせる華麗な手つきはドゥルーズを連想させる。自閉症についてもヘタに凡百の体験記を読むより理解しやすかった。理論社会学が著者の専門なので話が抽象的になりがちではあるけれど、抽象的なものも時には取り入れないと。社会学からも精神分析からも自閉症からも哲学からも数学からもあるいはラノベやホームズからもアクセスできる非常に面白い分析。2013/04/28

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