内容説明
警視庁三課の刑事・神崎は大量の古美術品が市場に出回ったことから、捜査をはじめた。彼が辿りついた松涛の富豪・井上家で、身寄りのないはずの井上を世話をしていたのは、榊田恵、学の姉弟。ふたりは井上の隠し子だという。事件の臭いを感じた神崎は密かに内定を始めたのだったが、いつしか仕事を忘れ恵の身体に溺れてしまう――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
machi☺︎︎゛
81
馳さんらしいノワール小説。犬系の泣ける話を書いている人と同じ人か?と疑いたくなるくらい正反対の作品。氷のザキと呼ばれている刑事の神崎。冷静沈着な彼がある詐欺事件の重要参考人である姉弟の姉に骨抜きにされてしまう。そこから神崎と姉弟との騙し騙され、追われ追いかけられが始まる。あり得ない無茶苦茶な展開もあったけど馳作品として面白かった。2024/09/25
たみ
18
窃盗・盗難を扱う警視庁第三課勤務の神崎(通称:氷のザキさん)が前半の主人公。暑くても汗をかかない体質ってうらやましいな~。でもリアルに「氷の〇〇さん」って呼ばれたら、かなり恥ずかしいよなあ。悪女に翻弄されるお話かと思いきや、あれこの人って美女以上に危険っぽい、不安定で怖い、なキャラクターが出てきたりして、最後までハラハラ。安易なハッピーエンドじゃないところが驚きで、魅力的な作品でした。馳星周さん、もうちょっと追いかけてみようと思います。2015/05/20
うめだんご
11
馳ワールド全開!って感じで一気に650P読了。「そこまで裏切ちゃう~?!」って最後の最後まで真っ黒ドロドロ!!昨今の馳さんの小説に面白さが感じられなかったので、この本はかなりハマりましたね。馳さんぽい。2017/03/10
ウメ
7
何を犠牲にしてまでも手に入れたいという強烈な欲求。家庭に恵まれず疑似家族を求める、心から愛して止まない恋人を求める。そんな展開はありがちだが、馳エッセンスが加わるとこうもおどろおどろしくなる。2017/03/19
nyangle
6
まずは刑事が登場。馳作品に刑事とはちょっと意外な感触。しかし窃盗などを扱う捜査三課(のちに二課)と聞くと、なんかアリかもと思えてくる。高い捜査能力と間抜けさあわせ持つ愛すべき男。続いて、詐欺師の姉弟が登場。鮮やかな手腕と謎と危うさをあわせ持つ興味深い二人。この三人が織りなすスリリングで切ない物語。終盤の転落ぶりに引き込まれずにはいられない。最後には、「なんてこった!」とびっくりするし。いやぁ、面白い良作だと思うのだけど、あまり読まれてないようですね。なんで? 切ないから?2020/01/30
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