内容説明
パリに亡命中のシリア反政府部族の長老ファーハドが暗殺された。シリアでは新政権トップの座を巡り、ファーハドの息子たちが争いを始める。英国政府は次男アシューに政権を取らせようと、長男ソーゲンの学友だったMI6の情報部員バッキンガムをシリアに送り込み、兄弟の和解を目論む。その極秘ミッションのリーダーとなったSASの隊員ダニー・ブラックは、仲間たちと共にバッキンガムの護衛として、激しい戦闘が続くシリアへの潜入を命じられる。 一方、現地で<国境なき医師団>の一員として活動していた医師クララは、政府軍の兵士に襲われ孤立無援となっていた。陰謀と戦火が渦巻く世界最悪の危険地帯で、彼らを待ち受ける壮絶な運命とは……!? 宿命を背負った戦士、ダニー・ブラック登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yoko
15
自身の経験に基づいているというだけでなく、暴力と流血が蔓延した現地の緊迫した様子をこのドライな文章が淡々と伝えてくれる。私はとりあえずフィクションとしてそのスリルを楽しめば良いが、この地球上のどこかでまさに今命の危機にさらされている人がいるのだというリアリティを拭い去ることができない。ダニーの任務がどうなるのか、どんな真実、陰謀が隠されているのか、見守りたい。2016/08/02
toritsu
13
★★★★☆。イギリス陸軍特殊部隊(SAS)の海外潜入モノ。舞台は2012年のシリア。内戦で混沌とする同国で作戦を展開するストーリー。MI6が絡み、シリアの権益を巡るイギリス・フランス・ロシアの綱引きと、物語は壮大ですが戦闘シーンは淡々と描かれています。2016/09/24
羊山羊
9
ダニー・ブラック初登場!なんとまだ23歳という設定でびっくり。僕より若いやん!と思いつつ、まあそうじゃないと特殊部隊員なんて無理よね。流石クリス・ライアン。前半1/5位で早くもダニーはシリアで孤立無援に。悪逆非道の正規軍や民兵の中をダニーはお荷物バッキンガムを抱えながら果敢に突破してゆく。絶望的な状況を前に燃え上がるダニーの命とその苦悩がよく描かれている本だった。多分、作者も経験したことがあったのだろう。冒険小説好きに是非!な1冊。2020/12/12
ゆーぼー
7
複雑な家庭環境を持つダニーだが、MI6情報部員の警護で戦場へ赴くこととなってしまった。 舞台となったシリアは、我々が報道で知りうるよりも、遙かに酷いところのようだ。 飾り気のない文章だけに、リアル感がずっしりと伝わってくる。 自己を護るスキルは無いが、気位の高い情報部員に手こずりながらも、ダニーはミッションを完遂できるのだろうか? そのオペレーションを確かめに、下巻へ急ごう。2015/12/05
あおさわ
5
元SAS隊員だったという作者による 戦場の描写は、緊張感と緊迫感に溢れています。 そんじょそこらのバイオレンスやホラーより よっぽど震えます。これが戦場・・・。 主人公ダニーは23歳ながら肝が据わってますし安心感がある。彼が連れているMI6のイケメンエリート、バッキンガムも また役には立たないし余計なことするけど根性屋で、この2人のやりとりが結構面白い。 ただバッキンガムが何か隠しているのは・・・ どうかこのまま味方でいてほしいものですが。2022/12/31