内容説明
私、賢ちゃんの身体をしょっちゅう思い出してたよ――挙式を控えながら、どうしても忘れられない従兄賢治と一夜を過ごした直子。出口のない男女の、行きつく先は?不確実な世界の極限の愛を描く恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りゅう☆
109
いとこの直子の結婚式で帰省した賢治は、結婚直前の5日間、若い頃の男女関係が復活。とにかくセックスして食事しての日々。富士山の噴火、大地震と原発事故の影響について賢治が感じる一面があるも、結婚控えて賢治を誘う直子に共感できず、ヤケクソと言い切る賢治には二人の行為を見てたらそうなんだろうなと思うものの、賢治の離婚理由や、今の直子との関係は単なる弱い者の逃げとしか思えない。この後降りかかる現実を見据え、今それしかないと思いお互いの欲情が埋まるなら全然構わないけどね。料理は美味しそうだったし、読みやすかったです。2017/05/14
いたろう
67
性と生、過去と現在。先に映画を観てから読んだ原作本。映画の舞台は秋田だったが、原作では福岡。何故、秋田に変えたのかと思ったら、監督が西馬音内盆踊りの場面を入れたかったからとか。確かに、殆ど2人劇とも言える映画の中で、亡者踊りとも言われる西馬音内盆踊りのシーンは、とても印象的だった。この演出は映画ならでは。ところで、映画の中で、久しぶりに再会した直子(瀧内公美)に、何故、坊主頭なのと突っ込まれていた賢治(柄本佑)だが、「アルキメデスの大戦」を撮っていた時期に近かったからだったとは。そりゃ、しょうがない(笑)2019/09/12
Vakira
52
白石一文さん 初読み。最近好きになった作家の窪美澄さんが解説を書いているので収穫OK。窪さん的小説の存在意義考察が読めて嬉しい。つくづく読書の意義を考えさせられる。自分の意思のコントロールが効かない自分の蟲を知る体験。結婚直前の女性が昔付き合っていた彼氏と出会い、結婚式までやりまくる様な話。これではどちらに転んでも破局が待っている様な予感。確かに読むとやりまくりの描写多数。エロ好きだけどそこまでやるか。ちょっと引いてしまった自分(蟲)の存在を発見する。火口とは休火山なのか?いずれは大噴火が待っている?2019/10/15
だーい
42
「いまやりたいことをやっていると、人間は未来を失い、過去に何も残せない」そうなのだ、そうなのだけれど、人の欲望は単純で複雑だ。食べて寝て交わって、それは本能的な生き方だと思う。食欲と性欲ってやっぱり関係してるよなーと思った。賢治の愚鈍さがすごく人間らしい。震災や火山噴火を通して、明日は本当は来ないのかもしれないということをひしひしと感じさせられた。ラストは少し尻切れトンボだったが、2人はこれからどうなっていくのだろうか。富士山の火口の淵を彷徨い歩く姿が浮かんだ。だけど不幸ではないと思う。2025/09/11
nanako
38
久しぶりに白石一文を読みました。小説のスタイルは相変わらずで、あまり変わらないのですが、何かが変わったような・・・。何なんだろう?震災の影響?それはあまりに短絡的な発想ですかね?2015/06/20
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