内容説明
社宅で繰り広げられる、見栄の張り合い、情報戦!
一流会社勤務の夫の転勤に伴い、東京での社宅暮らしを始めた音子。喜びも束の間……。リアルな人間関係の葛藤が迫力の長篇小説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スエ
129
「社宅」なんて怖いワード❢入ったが最後、人のペースを乱す女として名を馳せるスエは、すぐに村八分になる事間違い無しッ❢ そして夫は降格&左遷。南アフリカ辺りで単身赴任頑張って〜♡ ザーマス母達の熾烈なマウント争い。この台風に巻き込まれたら試合終了ですよ。はいッ(`・ω・)ゞ安西先生、スエは棄権します。まさにレディコミの世界!ちなみに最近読んだレディコミのタイトルは「他人を蹴落とす女」忙しいのにレディコミ読んでんのか〜い。夫の背広のポッケを探り、息子の部屋を探り。他の家に届くお中元チ〜ェック!!…お暇なのね。2022/09/20
じいじ
73
これ面白いです。70年むかしの自身の少年時代を思い出しながら読みました。紹介したいポイントが山ほどありましたが…。主人公の音子が、初めて出逢う一人息子のことで悩みます。それは昨日までは、まったく予想していなかった息子の〈性への目覚め〉です。息子の押し入れから異臭を放つ段ボールを発見します、中には使用済みの下着がギッシリ…。音子は夫の真剣に対応しないことへの不満も重なり、「入室禁止」の張り紙など、息子の反抗心に悩みます。ー今作は580頁の中に、母子・夫婦の問題点がいっぱいつまった有吉佐和子の力作です。2025/07/07
ぐうぐう
37
1970年に毎日新聞に連載された本作は、社宅を舞台にした小説の先駆けだったのかもしれない。社宅という空間がこんなにもドラマに溢れているのかという、有吉佐和子の発見への喜びが、全編から感じられる。活き活きとしたキャラクター達が有吉の喜びから生まれたのがよくわかる。その喜びは、時に冗長な描写や展開を導いたりもするが、社会問題を内包しつつも、エンタメを貫こうする有吉の姿勢が心地良い。夫の転勤に伴い、大阪から東京の社宅に越してきた音子が主人公なのだが、個性的な社宅の妻達に翻弄されながらも、(つづく)2018/02/06
まーみーよー
34
かなり面白かった。一流商社の社宅に住む思い込みの激しい主婦音子が主人公。音子をめぐるかなり濃密な人間模様がこれでもかとばかりに繰り広げられる。思い込んだら猪突猛進の音子には共感できないしうんざりもするのだが最後には憎めなくなる。著者有吉さんのそんなバランス感覚が素晴らしい。社宅で生き延びるコツは口を閉じることかな?2025/07/26
KEI
30
24時間働けますかとCMで流れていた時期と重なるのか?高度成長期の一流企業の社宅での出来事が面白い。読んでいて、社宅には住みたく無いと思ってしまった。夫は早朝から深夜まで留守、子供もある程度育てば専業主婦は暇。お得意の噂話に花を咲かせ、伝言ゲームの様になってくる。1つの出来事はあっという間に団地全体に知られてしまう。夫がエリート大を出た音子が主人公で息子の思春期、学業にあたふたする様には笑えた。そんな時間が有ればボランティアでもすれば良いのに。痛烈な人間描写は流石です。2025/08/13