文春文庫<br> 青い壺

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文春文庫
青い壺

  • 著者名:有吉佐和子
  • 価格 ¥693(本体¥630)
  • 文藝春秋(2015/08発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167137106

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内容説明

読めばハマる有吉佐和子。幻の名作長篇
無名の陶芸家が生んだ青磁の壺が売られ贈られ盗まれ、十余年後に作者と再会した時??。人生の数奇な断面を描き出す名作、復刊!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

143
13話からなる連作短編集。この青い壺だけが知っている。この壺だけが見てきた―昭和52年の作品を今、とても面白く読んだ。人の可笑しさ。心の表裏はいつの世もそう変わらない―牧田という陶芸家が焼き上げた美しい青磁の壺が次々と人に渡り・・外国迄も行ったはずなのに再び製作者の前に現れる不思議と言うか、これはもう運命なのか。だが、人は自分の目を通してしか信じない。それは幸せとも言う。2024/04/05

ふじさん

101
一人の無名の陶芸家が焼き上げた美しい青磁の壺を巡る13の連作短編集。十余年後に再会するまでに壺が関わった数々の人生。疎まれたて人の手に渡ったり、治療費に代償になったい、酒場に置き忘れられたり等、翻弄されながらも壺は、遺産相続、病気、母親や嫁姑の葛藤等、様々な人生模様の中に存在することになる。有吉佐和子が追い求めた美とは?真の美しさとは何か?を問いかける1冊。各編に様々な工夫があり、登場人物が際立つ巧みなタッチに心を奪われた。2024/04/18

タイ子

94
陶芸家の手によって作られた青い壺が人に手に渡りながら、その時々の様々な人生模様を描いていく13話の連続短編集。おとぎ話のようにこの青い壺が奇跡を起こすわけでもなく、誰かの命を救うとかそんな陳腐な物語ではない。それぞれの事情を抱えた家族や50年ぶりに再会する同窓会での女性たちが文中に生き生きと立ち上がってくる。何だか逆に青い壺に見つめられるような人間たちの生き様。時代背景に昔を思わせる要素は多分にあるが、時代は進化しようと人の心は変わらないんだなと思わせてくれる。青い壺を巡っての人生模様を大いに堪能。2024/04/07

じいじ

92
オモシロいです。有吉さんにこんなエンタメ性のある作品もあるんですね。勿論これは昭和の作ですが、旧さへの違和感を感じさせません。10年もの歳月を、あちこちを転々とする「青い壺」の行方へと併行する人間関係が1話1話、じつに面白く描かれています。その中で、子育てを終えた老夫婦に、私は親近感を感じました。でも、この何もしない亭主より、孫の幼稚園の送り迎え・自転車乗りなど、家族への貢献度は私の方が高いと思いました。…こんなユーモアに富む有吉佐和子の小説なら、もっともっと読みたいです。2023/12/24

アン

91
名もなき熟練の陶芸家が焼き上げた、気品ある青磁の壺に纏わる人間模様を濃やかに映し出す13話の連作短編集。壺は時を経て様々な人々の手に渡りスペインまで旅を。定年退職した夫が上司に贈る第二話は、かつての職場に立ち寄る夫の姿が痛ましく物哀しい。同じ学生寮だった老女達の50年ぶりの京都旅行を描く第九話は、賑やかなお喋りが筒抜けでクスリと。昭和の人々の暮らしぶりが目に浮かび、戦争を乗り越えた力強さも印象深い。人の心理は不思議なほど変わらない事や価値観の相違など興味深く、青い壺に秘められた静かな魔力に惹き込まれる。 2024/04/03

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