文春文庫<br> 青い壺

個数:1
紙書籍版価格
¥847
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

文春文庫
青い壺

  • 著者名:有吉佐和子
  • 価格 ¥800(本体¥728)
  • 文藝春秋(2015/08発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
  • ポイント 175pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167137106

ファイル: /

内容説明

読めばハマる有吉佐和子。幻の名作長篇
無名の陶芸家が生んだ青磁の壺が売られ贈られ盗まれ、十余年後に作者と再会した時??。人生の数奇な断面を描き出す名作、復刊!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

687
全13話からなる連作短篇集。第1話から最後まで連関性を持ち、全体として円環を結ぶ構成をとっている。同時に各話の独立性も保たれつつ、表題の青い壺が物語の核として機能するという構造である。ただし、この壺は作者、庄造の畢生の作品なのだが、その扱われ方は各話さまざまである。どの短篇もなかなかによくできており面白いし、有吉佐和子の文体もまた古さも感じさせない。この作品群の一番の妙味は、やはり人物像の造型の確かさにあるだろう。さすがにヴェテランの練達の業を感じさせるのである。私は第9話が面白かったが、他もほぼ同等。2024/07/01

Kotaro Nagai

319
有吉佐和子の長編は扱うテーマの重さゆえ手を出せないでいましたが、これは昭和51年文藝春秋1月号から52年2月号まで連載された連作短編集。著者40歳の作品。陶芸家の牧田が焼き上げた青磁の壺が狂言回しに次から次へと所有者が変わっていき、その所有者に関わる人間模様が描かれる。過去を懐かしむ老女の独白(第7話)は印象的な作品。2倍程度のボリュームで70歳を超えた老女たちの同級会を描く第9話も生き生き描いてこちらも好編。13編どれも鋭い人間観察が作品に生かされていると感じる。第13話で壺は作者の牧田の前に現れる。2023/11/11

鍵ちゃん

269
無名の陶芸家が生み出した美しい青磁の壺。売られ盗まれ、十余年後に作家と再会するまでに壺が映し出した数々の人生。定年退職後の虚無を味わう夫婦、戦前の上流社会を懐かしむ老婆、45年ぶりにスペインに帰郷する修道女、観察眼に自信を持つ美術評論家。青い壺を通しての人間ドラマが少しレトロで上品に人間くさく描かれてよかった。特に第9話が、歳をとってからの心情が面白い。2024/11/12

kakoboo

251
偶然誕生した青い壺が渡っていった人々の人生を描いた13の物語集。時代設定の昔らしさはあれど読者を夢中にさせる文体に古今の区別はない。各々の物語は視点が微妙に違っており飽きさせない構成も魅力的。 有吉さんといえば生き方としての力強さを描いた紀ノ川や恍惚の人のような社会派の印象が強かったがこういった物語を積み重ねるような作品もあると言うことに有吉さんの幅の広さを感じる。個人的な驚きは現在私が駐在している国のことが書かれていること。アンダルシアに憧れてとはいえども40度超えるので夏の訪問はお勧めできませんよ。2024/07/13

bunmei

230
50年以上前の高度経済成長期に差し掛かる中、まだ戦後を一部では引きずっていた昭和を舞台とした、青い壺に纏わる13の短編集。戦後の復興を目指してきた昭和の人々の思いが、令和の今になって再燃している。物語の素材は、当時の日常の一部を切り取った出来事ばかり。その中に、人が決して表には見せない本音や心理をリアルに描写している所が、現代人に通じるものあるのだろう。そして、巡り巡ってその傍らに置かれ、人々の言動を見届けてきたのが、青磁の壺。其々の思いに寄り添いながら、その美しい光沢の中に人間模様を映し出していく。 2025/05/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/3846001
  • ご注意事項

最近チェックした商品