内容説明
人類は、大地を見たことがない。 天地を貫く巨大な柱・ターミナルを中心に、彼らは街を造り国を建てた。旧世代の遺構であるターミナルを繋ぎ、空を横断する無数の鋼線。そこにぶら下がるゴンドラに乗り、流浪者(ドリフター)たちは街を行き来して生活する。見渡す限り、一面の蒼。 「警告。危ない、空に墜ちますよ」 そう、これは――俺の知らない世界。 青空に浮かぶ雲海の中、記憶喪失で倒れていた青年・クウガを拾ったのは、天真爛漫な流浪者スズと、彼女に尽くす機械人形(オートマタ)のエア。少女二人と旅をする中でクウガが知る、己と世界の真実とは――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リキヨシオ
24
人間と機械が空で織りなすファンタジードラマ。真実と記憶喪失の状態で倒れていた青年クウガを助けたのは、流浪者(ドリフター)の少女スズと機械人形(オートマタ)の少女エア。クウガが見たのは大地のない遥か上空で見渡す限り空と雲ばかりの世界。見知らぬ世界で記憶喪失になったクウガは天真爛漫なスズと保護者的の存在エアと一緒に旅をする事になる。戸惑うばかりだったクウガはスズの笑顔とエアのアドバイスにより徐々に癒されながらこの世界に慣れていく…そしてこの世界の真実は明らかになるにつれ、彼女達の心の傷も明らかになる。2016/01/20
真鍋
12
世界観が本当すごく好み。イラストもとてもいいし、もちろん話の内容も十分よかった。続編があるようだから読んでみようかな。2018/11/01
サキイカスルメ
10
題名が抱える闇の深さに驚きました。表紙からもっとポップな感じかと思ったのですよ。記憶喪失の青年クウガが、漂流者の少女スズと機械人形エアに拾われて始まるお話。好きな世界観なんだけどなぁ……惜しい感じ。シエルを救うところまでは好きだったんですが、最後がちょっとしんどかったです。主人公クウガは、記憶を失って不安定なせいか疑り深くて後ろ向きな傾向です。エアには癒されましたね。シエルも可愛かったなぁ。スズはまさかの闇を抱えていたので……うん。2015/06/17
真白優樹
8
空で人々が暮らす世界の中、記憶喪失の青年と少女、機械人形の少女が出会い始まる物語。・・・何と言うか、うーん・・・ガンダムでいうコロニーで暮らしている人々のような感じだろうか、この危うさは。そして機械人形の方がヒロイン度が高いってどういう事態なんだろう・・・全体的には青年と二人の少女の交流がうまく書かれており、どこか透明感のある世界観と相まって何とも言えない味を出している。・・・この作品を正当に評価するのであれば、続きが出てどういう方向に舵を切っていくかではないと思う。 次巻も楽しみである。2015/06/13
まろにえ
7
記憶喪失のクウガと彼を拾った少女スズと機械人形エアの物語。地上を捨て空にある旧世代の遺跡ターミナルにしがみ付く人類。ターミナル間をゴンドラハウスで旅をし、旧文明の遺跡を巡る。チグハグな科学水準と常識には、スチームパンクにあるロマンを感じさせてくれる点については非常に好み。しかし物語自体は単巻作品にも拘らずクウガ・スズ・エアの人物紹介レベルで止まってしまっていて、折角の舞台設定を生かせていないのは残念。スズ一族のエアに対する親愛の情と、その結末に関しては共感が出来なかったのも残念。次巻があれば様子を見たい。2015/06/16