内容説明
なにを、どう読み、いかに生きるか。真摯な問いかけが深い感動を呼ぶ、永遠の読書論。ファシズムに抗し獄死した近代日本を代表する哲学者による読書案内であり、秀逸な人生論でもある。混迷の時代を生きる現代人必読の書。
目次
我が青春
読書遍歴
哲学はどう学んでゆくか
哲学はやさしくできないか
如何に読書すべきか
書物の倫理
軽蔑された飜訳
辞書の客観性
ハイデッゲル教授の想い出
西田先生のことども
消息一通 一九二四年一月一日マールブルク
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
29
著者の読書遍歴を通じて、旧制高校の生徒が多くの本を深く読んでいたことに驚嘆するとともに、哲学の奥深さに触れることができました。著者の読書法や学びの姿勢にも納得できる説明が多くありました。2021/12/10
企業研究職(微生物)
14
研究室の先輩にもらった本。このような戦前の大学を舞台にした文章を読むと、今のように娯楽がなく学問に没頭していた当時の学生を羨ましく感じる。 読みながら以下の点に深く頷いた。 読書とは技術である。鍛錬して自分なりの個別の読書の型を身につけてはじめて読書家となる。多読は必要だが専門を持たずに様々な分野に触れるのでは一般教養は身につかない。幹になる専門を持ち、そこから派生して他分野にも関心を広げて初めて意味のある教養が身につく。 きっともう一度読みたくなると思う。2020/10/18
ネムル
14
戦前の教養主義に乗っ取ったように始まる読書も、教養主義の香りを感じさせず、己の興味のまま読みまくる/世界を渡り歩く読書遍歴が圧巻である。「古来読書の法について書いた人は殆どすべて濫読を戒めている。多くの本を濫りに読むことをしないで、一冊の本を繰り返して読むようにしなければならぬと教えている。それは、疑いもなく真理である。けれどもそれは、ちょうど老人が自分の過去のあやまちを振返りながら後に来る者が再び同じあやまちをしないようにと青年に対して与える教訓に似ている」2018/04/09
のり
13
哲学者・三木清さんの哲学、読書、書物についてのエッセイ11編からなる1冊。はじめに思っていたよりは全然読みやすく、特に「如何に読書すべきか」はかみ砕いてかみ砕いて書かれている(ように感じる)ので、スラスラ読めます。しかしながら、サラッと読み流すにはもったいないほど、特に読書人には有益な中身です。これからも長く本に付き合っていくなかで、この本が大いに僕に示唆を与えてくれるだろうと思います。速読術やダイジェスト本もいいけど、一生使える読書術をこの薄い本で学ぶことで、より豊かな本の世界を開けると思います。2015/01/31
ゆうきなかもと
12
本書の「哲学はどう学んでゆくか」より《論理主義を唱えて心理主義を攻撃した新カント派の哲学が一時わが国に流行してから、哲学を学ぶ者が心理学を勉強するという、それ以前の日本ではむしろ常識として行われたことが次第になくなっていった。》こんなこと書かれると心理学関係の本も読みたくなる(´・_・`)2015/12/24