内容説明
1千万人に及ぶ巨大な人間の集団が働いた黒部の谷底。そそり立つコンクリートの岩壁に積み重なった7年の歳月の重さ―。黒部ダムを含む黒部川第四発電所の建設プロジェクト(通称くろよん)は、戦後の経済復興の本格化に伴う電力不足を受け、昭和31年に着手、38年に完成した。高さは186メートルで国内一。昭和39年、毎日新聞に連載された同名の記録小説に、数十枚の加筆を行ったこの作品は、「黒四で苦労した大勢の人たちの、人間の記録を書きたい。この工事で殉職した171人の人々のために、紙碑を立てたい」という著者、木本正次の強い意志によって産み出された。当時の関西電力会長、太田垣士郎は「ぜひ、生きた、血の通った文学の碑を立ててください。殉職者に限らず、黒四で苦労した人たちのために、どうか人間の記録を残してください」と答えたという。三船敏郎、石原裕次郎主演、熊井啓監督の大作映画の原作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
234
【ダム部・課題本】今まで「ダム好き❤️」などと言っていた自分が恥ずかしくなる1冊。すべて実名、実話の迫力みたり。ダム造りに、文字通り命をかけた男たちに惚れました。ぜひこの目で見てみたいです、黒四ダム。2016/09/18
まさきち
68
かっこいい男共満載の一冊でこんな風に仕事をしなければと思わされた話です。そしてそんな彼らが築き上げた黒四ダムをぜひともみたい、見なければと思いました。2016/10/27
hm
37
昭和30年代、経済成長に合わせて爆発的に増加する電力需要に対応するため人類未踏の地に建設された水力発電所・黒四。想像を絶するような厳しい環境で必死に取り組む姿は凄まじいの一言。20年程前に修学旅行で黒部ダムに行った時、その巨大さに凄く驚いたのですが、どうやって作ったのかまでは、ほとんど理解できてませんでした…。この本を読み終えたいま、もう一度、訪れてみたいと思います。それと映画も見たいな。2014/11/19
Akihiro Nishio
26
今回黒部には行かないのだが、富山関連本として読む。自分が行く場所、会った人と関連付けて本を読むタイプなので。ダム建設と言えばダム本体の建設が難しいのかなと思うが、本作では殆どが信州から掘られる資材運搬トンネル工事に費やされる。岩盤の緩いところを掘り進めることがとてつもなく難事行らしい。戦争を生き延びてしまった男達の、ここで引き下がっては土木界で生き残れないと総力戦を決意するゼネコンの姿勢が熱い。飛騨に住んでいた時に居酒屋でよく奢ってくれてトンネル工事のことを教えてくれた発破師のおじさんのことを思い出した。2017/07/27
かるかん
25
仕事一辺倒で大事を成し遂げる「素晴らしい」話。 さて、これは時代背景があればこそ同意を得られるような内容ではないか、当時は景気もよく、働けば評価された時代だ。 現在は働いても給与は対して伸びないし、物価は上がり固定支出だけが増えていく中、誰が熱くなれるんだろう。 結構驚いたのが、この時期には安全に関する土壌の醸成が進んでいたようだ。事故はつきものだが、それを最小限に止めようとする姿勢がこれでもかと描かれているのは、やはり当時にも安全第一が浸透していたからだろう。2020/10/22
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