内容説明
600年前の動乱の時代を生きた禅僧、一休。後小松帝の側室の子としてわずか6歳で出家。無欲清貧、風食水宿、自己見性につとめる純粋禅僧に師事するが師と死別。やがて失意の青年僧一休は酒肆淫坊に出入りし、女犯をなす破戒三昧な生活の中で、人間的な自由禅を志向していく。放浪無頼な風狂の人、一休宗純和尚の由縁の地、京都嵯峨野、堅田、堺、住吉、田辺を水上勉が訪れ歩くほろつき文学紀行。
目次
はじめに
生誕地付近――嵯峨野
求法、求師の道――京都
蒼顔放浪――京都
大死一番――大津
湖国の蘇生――堅田
湖岸夜座――堅田
華叟韜晦――湖北
泉南に遊ぶ――堺
風狂街頭禅――堺
破戒無慙の青年期――豊中
鬼門の関に住す――譲羽
森女邂逅――住吉
上苑美人の森女と――田辺
冬の終焉――田辺