内容説明
600年前の動乱の時代を生きた禅僧、一休。後小松帝の側室の子としてわずか6歳で出家。無欲清貧、風食水宿、自己見性につとめる純粋禅僧に師事するが師と死別。やがて失意の青年僧一休は酒肆淫坊に出入りし、女犯をなす破戒三昧な生活の中で、人間的な自由禅を志向していく。放浪無頼な風狂の人、一休宗純和尚の由縁の地、京都嵯峨野、堅田、堺、住吉、田辺を水上勉が訪れ歩くほろつき文学紀行。
目次
はじめに
生誕地付近――嵯峨野
求法、求師の道――京都
蒼顔放浪――京都
大死一番――大津
湖国の蘇生――堅田
湖岸夜座――堅田
華叟韜晦――湖北
泉南に遊ぶ――堺
風狂街頭禅――堺
破戒無慙の青年期――豊中
鬼門の関に住す――譲羽
森女邂逅――住吉
上苑美人の森女と――田辺
冬の終焉――田辺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
58
高校時代に「五番町夕霧楼」を読んで以来、一時期はまった作家さん。全体に流れる暗いトーンにめちゃめちゃ惹かれてました。今回久しぶりに読んだのだけど、これはかなり読みにくかった。もう少し京都中心の紀行文なのかな、と期待しすぎました。私自身、一休和尚に対する知識ゼロ(後小松天皇の落としだねだったのね!)だったのが敗因だったのでしょう。2014/08/18
marukuso
1
一休和尚の生涯をゆかりの土地を巡りながら辿る。後小松帝の側室の子として、隠し子的な存在だったようだ。幼くして出家し、酒と女に溺れた時期もあるが、なぜ今でも愛されるような存在になったのか。母の面影を探す悲哀の少年の心が感じられる。2023/07/03
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