内容説明
両親を航空機事故で失って以来、達哉は姉・伊月とふたりで暮らしてきた。しかし、最愛の姉は今度の日曜日に金持ちの男と結婚してしまう。暗い想いを抱えた達哉は誘われるように「レンテンローズ」という名の花屋を訪れ、店主のノブらとともに久々に心安らかな時間を過ごした。だが結婚式当日――伊月が無残な姿で発見され……!(「裁く十字架」より)太田忠司の傑作幻想ミステリ登場!! 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪守
8
文庫でも読んでいましたが書き下ろしがあると聞いて再読。シンプルだけど分り易くて王道の謎は俊介シリーズに通じるものがありますが、こちらは妖しげな雰囲気に加えて罪との対峙がテーマ。書き下ろしの「沈む教室」が暗い雰囲気で終わっていたこの作品に少しの温かみを与えて、更に物語の質を向上させていました。次回作も楽しみにしています。2011/01/10
きゅーま
5
気がつくとそこにあり、いつの間にかなくなっている不思議な花屋『レンテンローズ』。そこを訪れる客は、自らが直面する事件を通して自分の心の闇と向き合わせられることになる。短編連作形式なダークファンタジーなミステリー。オウムのサムとノブさん、ミユキさんのやり取りが好き!まだ謎な部分もあるので楽しみにしつつ続き読みたいと思います!表紙&作者買いでしたがこういう感じ好きなんで、よかったです。ちなみに『沈む教室』が一番好きかな?2011/08/20
みずなか
3
心にモヤモヤしたものを持ってる人のところに現れ、知らぬ間に心の闇(?)を暴き、知られずに去って行くという彼らが何者なのか気になるところ(自称は知ってますが)記憶操作するのはいいんですが、何だかスッキリしない読後感…(でも続きは読む2012/09/29
ゆりっぺ
3
妖しく幻想的なミステリ。2011/05/03
tooka
3
自分では気づかない小さな悪意や孤独といったものに焦点を当てることや舞台設定はいい。しかし特別な力を持つキーパーソンが宿命でも仕事でもなく、気まぐれで人の運命を翻弄しているようにしか見えないのが難。各話で探偵役を務める人たちは能動的に謎を解明する気持ちが希薄で、むしろキーパーソンたちが自分たちの目的(謎を刈る)のために扇動しているかのよう。謎を解く者に葛藤がないとここまで雑味がなくなるのかという点に驚いた。2011/03/29