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内容説明
かつて毒ガス兵器の開発者がノーベル賞を受賞した。その後も科学の軍事利用は止まるところを知らず、原子力、遺伝子ビジネスなど、研究はさらに未知の領域へと踏み込んでいく。本書は科学史と思想史を手がかりに、〈科学の古典的規範〉がいかに崩壊したかを明らかにする。さらに、専門家ではない人々が、科学の暴走に歯止めをかけるために必要な〈感覚〉について論じる。危機に瀕する科学に対し、どこに問題の本質があるのか核心を突く画期的論考。【目次】まえがき/第一章 科学の自覚/第二章 科学の変質/第三章 ある科学者の肖像/第四章 科学批判の諸相/第五章 科学の文化的批判に向けて/あとがき
目次
まえがき
第一章 科学の自覚
第二章 科学の変質
第三章 ある科学者の肖像
第四章 科学批判の諸相
第五章 科学の文化的批判に向けて
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
無重力蜜柑
11
コントやルナンに始まりマートンのCUDOSに総括される古典的科学者像が、その後のビッグサイエンスの台頭やバイオテクノロジーの商業化による「体制化」でモード2やポスト・ノーマルサイエンスと呼ばれるものへ変質し、3.11以後の日本へも通じる「科学の危機」へと繋がっていると主張する。筆者は古典的科学に肯定的感情を持ちながらも、科学も科学者もその立場には止まれないと考え、戦後日本の様々な試みを参考に「科学批判学」を提唱する。典型的な左派の書いた科学論だが、科学社会学(あるいはSTS)の話題がよく纏まっている。2022/05/23
うえ
5
いくつか興味深いエピソードもあるが凡庸な結論。柳澤桂子の方がよいか。(軍事)科学史的にはブラッケットの方がよい●「コントこそが実証主義という言葉を作った人、その後の自然科学の哲学の代表的基軸となる思想の、重要な提唱者なのである」「実証主義は現代の科学者も少なくともその大枠ではそれに従う知識生産の規範として、自然科学の哲学としての依然役割を失っていない」「コントにいわせるなら実証的知識は空想的ではなく現実的であり、無用ではなく有用なものだ。そして、漠然とした不決定性ではなく確実性をもち曖昧ではなく正確なもの2015/06/13
ソーシャ
5
認識論の大家が、科学のあり方や科学批判について論じた新書。ところどころ衒学的で(求める前提知識のレベルが高い)、科学批判に寄り過ぎではと思う箇所もありますが、科学の「変質」や現在の科学のあり方の問題点についてコンパクトに述べられています。科学のあり方について考える上で読んでおいて損はない本です。2015/05/10
Ex libris 毒餃子
5
科学社会学に依った科学に対するkritik。実例メインで書かれているので、初心者にもわかりやすいが、問題定義や議論の筋は的を射たものであるので研究をしている人にも楽しめる一冊。2015/05/02
Ishida the Brain Damaged
2
最終章で小出裕章や常石敬一、浜六郎とか評価してる。ちょっとこれは焼きが回り過ぎなのでは。それはそれとして後書きによると著者は重い病気患っているらしい。ご回復をお祈りしたい。2015/07/17