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内容説明
人間中心の政治・社会・経済を取り戻す
財政破綻、地方消滅、社会保障崩壊、果ては民主主義の危機までが叫ばれる中、いま真に必要な改革とは何か。日本型福祉国家が行き詰まった今、求められるのは参加型の政治・社会保障体系への転換である。人間の生を最上位に位置付けた「人間国家」が日本を変える――財政・社会保障の大家による提言!
[内容]
第1章 歴史の「峠」に立ちて(危機を「理解」する)
第2章 「人間国家」へ舵を切る(知識社会への転換)
第3章 財政を有効に機能させる(租税国家の危機)
第4章 民主主義を活性化させる(「遠い」政府を「身近な」政府に変える)
終章 「人間国家」が導く「懐かしい未来」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
37
社会学も財政学も、ホモ・エコノミクスとして人間を純化するのではなく、人間は社会をなして存在するという人間観に立脚しながら、スミスの政治経済学を批判した。財政学はドイツで、ワグナー、シュタイン、シェフレの三巨星が確立。イーリーは新渡戸稲造、片山潜に影響した(44頁)。経済は人間が自然に働きかけ、生存に必要な有用物を入手する営みで、自然環境を巧みにやり繰りすることを含意(65頁)。知識集約産業:知識で質を追求し、人間的な生活を送る産業(78頁)。2016/02/23
きさき
11
★★★★☆:サクサク読めて、まあまあ勉強になった。問題提起は良いけど、具体的にどう解決していけば良いかが説明されていない。あと、作者はスウェーデンが好きすぎる(笑) どうしたらこれから日本人がもっと幸せに生きられるかを考えてなくてはいけないと思った。2017/12/25
くものすけ
9
「人間国家」は小さな政府ではなく、大きな政府に基づく社会ビジョンを描くと。かなり難解な部分も多かったが、すんなり理解出来る部分も多く一通り読み通す事が出来た。中央政府、地方政府、そして第三の政府「社会保障基金政府」という壮大な構想は面白そうだが余りピンと来なかった。財政学者の泰斗という事です。国債増発による政府の借金が膨らむことに対し、国債の引き受け手の多くが日本国内の為、上手くやりくりさえできれば財政破綻の懸念は少ないという見解に幾分ほっとした。しかし、今後大量の発行済国債の処理など問題山積だと…2025/01/09
うーひー
4
教育や福祉といった「現物給付」の担い手を、政府から地域共同体に移譲させる。しかもその担い手は、「経済システム」(市場原理)の下に行動するのではなく、「社会システム」のもとvoluntaryな動機で行動する。政府は、課税ベースを拡大しつつ、中央政府と地方政府、社会保障基金政府の三体系に再編成され、ローカルな相互扶助コミュニティを促す。めちゃ明確な国家構想で、説得力あり。ただ、外部者の社会包摂や、どのように人々のOwnershipを醸成させるかについては明確な答えはなく、しかもそれが最大の問題なのではないか。2018/06/16
Ra
2
今後の異動も見据え、己の興味関心のreshapeに取り組んでいたところ、就活直前に読んだ本書を想起し再読。 市場(市場原理の経済システム)・政府(民主主義原理の政治システム)・社会(共同体原理の社会システム。帰属集団であるinformal sectorと機能集団であるvoluntary sectorに大別。)の三位一体的なtotal systemとして現代社会を捉え、その改革を構想する。2021/06/28
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