講談社選書メチエ<br> 民俗と民藝

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講談社選書メチエ
民俗と民藝

  • 著者名:前田英樹【著】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 講談社(2015/07発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062585521

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内容説明

柳田國男の民俗学と柳宗悦の民藝運動──。異なる方法、言葉遣いで展開されたそれらを、成長させた土壌は同じひとつのものだ。それを本書で著者は、〈原理としての日本〉とよぶ。時期を同じくしながら、交わることの少なかった二人の仕事によりそい、二人の輪唱に誘う力作。(講談社選書メチエ)

目次

まえがき
第一章 失われた民謡
第二章 農民から「常民」へ
第三章 文明開化に抗するもの
第四章 民俗学の対象、日々を生きる喜び
第五章 工藝の発見
第六章 暮らしの器
第七章 木喰上人を求めて
第八章 民藝運動というもの
第九章 民俗学と民藝運動
第十章 常民を想って
第十一章 南の島に在るもの
第十二章 魂が住む家
第十三章 籾種を携えて海を渡る
第十四章 穀霊の宿るところ
第十五章 生の工藝化としての「本能」
第十六章 〈民藝〉を産む〈民俗の記憶〉
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

37
柳田国男の民俗学と柳宗悦の民藝運動について論じた一冊。この両者が共に西洋からの客観的な学ではなく、日本人の心と信仰をその芯としていると説いている。そうして見ると確かに両者の一致点は多いのかもしれないが、本書の中では章ごとに両者を解説するという方法をとっているため、両者がバラバラな印象を受ける。それに「常民」という概念が民俗学初期からあったように書かれているが、この概念がはっきりと現れているのは後期になってからだと思うけど。民藝運動についてはほとんど知るところがなかったので、木喰仏の発見等は面白く読めた。2013/06/10

きいち

22
柳田國男と柳宗悦。不用意な歴史化に抗い、現在目の前にある事物にロイヤリティを持って活動することで20世紀前半の社会の変化の中で転向することなく生き抜いた。すれ違ったこの二人にひとつの物語を語らせる前田独自の試み、それを「書く喜び」と言うのが印象的。◇民俗学も民藝運動も、この二人の個性が多くの人を引き寄せた運動。だからきっと、本丸は人と人との間にある。ここでは河井寛次郎が取り上げられるが、前田の着想はきっと、民俗学なら渋沢敬三なり宮本常一なり、そうした他の個性との関わりを追うことでさらに面白くなると思った。2014/05/06

壱萬弐仟縁

11
柳田国男と柳宗悦の違いとは? 民謡重視の民俗学(12頁)。柳田みずからは自らの民俗学を「新国学」と称したという(64頁)。後で使いそうだから覚えておきたい。柳宗悦とのライヴァル視か、否か。共に庶民、市民の生き様に最も近い部分に迫ったわけだが、ふつうの人の把握の難しさもまた、個性と多様性という性質もあって大変なのは今も変わらないだろうか。常民としても、民藝としても、民のもつ力量の迫力。暮らしのリアリティ。それらの表出としての民の技。業。生業。農山村での牧歌的な暮しへの回帰も若者に見られ始めた。民の担い手は?2013/06/03

koji

2
図書館返却の期限もあり、とりあえず139頁まで。柳田國男は本居宣長を尊敬し自分の民俗学を「新国学」と称して憚らなかったそうです。そこには「常民」の思想、つまり西洋式の有事(めったに起こらない事実)を見つめる闘争の美ではなく、無事((平穏無事の暮らし)の中の美を見つめる思想がありました。また柳宗悦の民芸運動も李朝陶磁や木喰上人の木彫りの仏像に日常の「暮らし」の実相を見出すもので、柳田と同根のものです(二人が反目しあっていたのは皮肉ですが)。途中まででしたが「日本とは何か」を考えさせられました。2013/07/28

ぼのまり

2
柳田國男の民俗学、柳宗悦の民藝運動、それぞれの活動を並行して捉えつつも、その源泉が同じであるとする著者の主張はなるほどなと感じる。そこにはかつて多くの日本人が心の中に持っていた独特の自然観、生命観があるように思う。2013/06/05

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