内容説明
昭和6年の甲子園。早稲田実業の島津投手は、マウンドでがっくり膝をついた。愛知・中京商業にサヨナラ負け。実はこの中京商業の勝利こそ、いまだに破られない夏大会3連覇の偉業、そのスタートだった。――それから75年。中京商業以来の夏3連覇の目標を引っ提げて甲子園に乗り込んできた駒大苫小牧。その「最後の1勝」を阻止すべくマウンドに立ったのは、奇しくも同じ早稲田実業の斎藤佑樹投手だった。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニックス
12
早稲田実業の歴史が優勝に近づいた人の時代ごとに書かれていて面白かった。ノンフィクションかつ最近の出来事で、小説のような文体で書きにくい内容だと思うが、すんなり読むことができる。さすが門田隆将先生の文章だった。主人公は斎藤佑樹投手。平成18年のマー君との死闘を思い出した。あれから15年斎藤佑樹は引退し、その当時の選手はハンカチ世代から88年組と呼称が変わった。ハンカチ王子、プロでは活躍できなかったな。このころが一番輝いていたな。星3.52024/02/05
スプリント
5
早実野球部の歴史を斎藤佑樹を中心に、戦前、王貞治、荒木大輔といった時代毎に振り返っています。当時の時代を感じさせるスパルタな練習風景や理不尽な先輩の命令なども記載されており上辺だけの内容にはなっていません。(ただ、斎藤佑樹についての記載は脚色されているように感じました。。。)2014/08/06
はち
4
高校野球が好きなら、絶対に読んだ方がいい。名門、早稲田実業が夏の甲子園制覇を果たすまでの百年史。名門とはこんなに厳しく、過酷なものなのか…確かに愛媛県民が松山商業に抱く気持ちもこのようなもの。早稲田実業だけでなく、対戦相手の駒大苫小牧の田中将大、香田監督の側のエピソードもある。早く次の夏の試合が見たい。2011/05/11
さら
3
一瞬の夏、一生の記憶。これに尽きる。因縁という名の運命。想いの強さ。たまらなく熱くて、爽やかで、儚い。2011/08/25
Ken
2
7年前の平成18年夏の甲子園大会の決勝戦、思いも掛けない第一試合を、ぼくは3塁側で早実を応援していた。おそらく、大阪勤務で日曜日でなければこの大試合を見ることもなかっただろうが、午後一番から陽が傾く夕方まで感動かつ息の詰まる数々の場面を見られた。太陽の軌道を追い掛けるような観戦でもあり、顔や腕が真っ赤に灼け、その試合結果のようにまだ夏が終らないことを語られているようだった。翌日の決勝戦再試合を観れたらと思い、ちょっと残念だった。(コメント欄に続く)2013/08/29