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内容説明
清の侵攻を恐れる新興国・大日本帝国。基盤の脆弱なこの国が、いかにして列強の侵略を凌ぎ、さらに覇権国・英国と結んだのか。その同盟戦略はどう機能し、どう破綻したのか。日英同盟から三国同盟まで、戦争と外交にみる帝国の通史。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バルジ
3
日英同盟の関する記述が本書の主軸を為す。日清戦争で同盟国を持たないばかりに列強の干渉により戦略的目標を達成出来なかった日本は、その後グローバルパワーである英国と戦略を共有することで同盟締結に成功、日露戦争に勝利する。しかし「敵」を喪失し日英双方の戦略的利益に齟齬が出てくると同盟は空洞化し始め第一次大戦で決定的になる。自国の利益に執着し同盟国に耳を貸さない日本の独善的な姿勢は英国の不信感を増大させた。「同盟」は何をもって維持されるのか、日米同盟のあり方を考える上で極めて有用な視座を本書は提供してくれる。2019/09/08
ムカルナス
2
日英同盟の成立から終焉までを分析し日米同盟を考える。日本は第一次大戦時に非協力的で西欧が大戦に集中してるのを好機に中国での権益を伸張させようとする。参戦で勝利に貢献した米国に比べ日本は不信感をもたれ日英同盟解消そして第二次大戦敗戦につながる。グローバルパワーとの信頼関係のある連携で後ろ盾を得ることの重要性を説いている。中国がかつての日本のようにリージョナルパワーからグローバルパワーをめざすのなら米国との対決は避けられず、その場合には日米同盟が重要となるとの指摘は的を射ていると思う。2014/10/26