内容説明
『君主論』でカリスマ権力者による政治主導を訴え、『ディスコルシ』で市民に国を守る自覚をうながしたマキァヴェッリは、本書で、強く、かつコントロールしやすい軍隊の作り方を説く。群雄割拠の時代、他国との戦いを勝ち抜かなければならないのはもちろんだが、同時に司令官たちの台頭も警戒しなければならない。軍制改革の特命を帯びた彼は、厳しい訓練によって兵士を鍛えるとともに、クーデターを未然に防ぎ、不満分子を矯正するための管理体制を構築する。マキァヴェッリ政治思想を理解する上で欠くことのできない一冊。ボリンギエーリ版、ナツィオナーレ版に依った改訳決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
9
マキャヴェッリで、しかも『戦争の技術』ときたら絶対面白いだろう、と思ったらそうでもなかった。大砲時代にもかかわらず、古代ローマの戦闘方法を至高のモデルとしているし、実践的な戦争論としても疑問符。そして、その戦争の技術がより発展した話題に広がる気配がなく、マキャヴェッリの著作である必要が感じられない、言うならば、500年前の凡庸な戦争理論書。うーん、ミスったな。2014/08/07
壱萬参仟縁
9
1520年の作(解説298ページ)。日本では足利氏の治世。マンパワーで集団と集団で戦っていた時代。現代はレーザーをあてられたとか、見えないところで発射されてどこを通ったかは後からしかわからない兵器。この中世での戦い方の方が、目に見えるものの、情報が正しく伝わらなかった可能性もある。どの時代の戦争も、結局、勝敗はつくかもしれないが、不毛で徒労に終わると思える。現代は勝敗はつかない。総崩れ。戦後の想像力の欠如がまずい。体系図が7枚説明される。21世紀の今、最高権力者が隊形最後列で鎮座するもそんな時代ではない。2013/02/19
Fumoh
3
元々は「軍事論」と呼ばれていたらしく、「戦争の技術」は後世につけられたタイトルだとか。中身は軍制改革論ともいうべきもので、第一次イタリア戦争においてフランス軍にめちゃめちゃにされたイタリア諸都市の軍の脆弱さを嘆いたマキャヴェリが、古代ローマに範を取って、当時の軍制を論じた話です。「孫氏」のように一般的な軍事論ではなくて、かなり込み入った、実践的な陣形や隊列、軍の構成の話なので、今になって読むと資料的価値しかないように思えますが、「マキャヴェリズム」の奥底に流れている精神をそこに見出すこともできます。2025/03/23
ポチョムキン原田
1
昨今話題になっている第二次世界大戦における歴史問題等の認識を話し合う上で読むべき本だと考えられる。 戦争に対する認識や、賠償金の概念などが正しく理解できる著作の一つだと断言できる。 世の中の評論家気取りは一度読んでみたらいいのでは?2019/09/05
roughfractus02
1
国家や戦争は過去に遡り未来を予測すれば捉えうるものではない。不透明な未来に向かう軍隊の成功は、管理と制御の不可能性をいかに減ずるかにかかっている。外交に手慣れた著者ゆえに、常に未知の他者に向かい、現実という多様性の力量(virtu)を制御可能にまで高める努力を続けたのだろう。彼は、その多様性を捉え切れず、試行錯誤によって綴られた言葉のみを読者に差し出す。彼の意見で組織されたフィレンツェ軍がピサ奪還を果たしたのはあくまで結果だ。結果からしか辿れない歴史で捉えれば、彼が対峙した多様性の力量は消えうせる。2017/02/10
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