内容説明
「ガチ怖」と言えば久田樹生と言われて久しいが、そもそも「ガチ怖」とは一体何をさすのか。本気で震えあがる怖い話、長くて読み応えのあるどっしりとした怪談、それらを意味するのは勿論だが、その根底には「話そのものがガチである」というのが大前提としてあるのではあるまいか。つまり、「本当に起きた話で、リアルである」ということだ。それゆえに「ガチで怖い」のだ。無論、実話怪談と名のるものが「本当にあった話」であることは当然のお約束であるわけだが、久田樹生の場合は又聞きや電話やメールで話を聞いたという曖昧さが一切ない。すべて、足を運び、本人から直接目を見て話を聞くというスタイルから成り立っている。それこそが本物の凄みであるのは、本書を一読されればご理解いただけることと思う。まさに魂を削って事実を伝えている。その血生臭い香りをぜひご堪能あれ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
40
実話怪談集。主に連作が再収録されている為、読み応えがある。というか本書の大部分は連作短編。何というかそこは怪異より不条理を感じさせる話が多い。連作の大部分は一人の人間の一生や半生を追った体になっており、怪談がその人の人生に絡んでくるために余計にそう感じるのかも。それを大量に集められていると、怪談の怖さより生きていく上での鬱陶しさや重苦しさが際立ち、怪談の嫌さではなく読んでいて鬱になる嫌さを感じる。独特の湿り気のあるような文体がそれに輪をかけている。ああ、嫌だ。それなのに読むのを止められない。2015/04/24
大
2
既読の話がほとんどだったけど、改めて怖い話が多いな、と思いました。収録されている話の中では、機縁、黒禍が特に厭です。2015/02/04