内容説明
電子カルテの導入や説明責任、個人情報の開示請求など、近年相談援助職の記録には高い客観性と専門性が求められている。本書では、記録に必要とされる要素や用いるべき語句、実際の記録の添削例などを収載し、限られた時間で的確な記録を残す具体的なノウハウを提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コージー
22
★★★★☆医療現場、福祉施設などで働く相談援助職が、短時間で適切に記録するためのノウハウ本。記録の添削なども紹介されており、理論的な内容と具体的な内容がバランスよく掲載されている。記録の書き方だけに特化しているため、記録が苦手な方にはオススメです。【印象的な言葉】①「気分」はクライエント自身の報告によるもの、「感情・情緒」は援助職の観察によるもの。②記録はその印象が非常に重要である。パッと見てわかりやすい、誤解がない、どこを見ればよいか明確である記録は突っ込みどころが少ないと言える。2020/04/29
コジターレ
9
良書。相談援助における記録に特化して、ここまでよく整理された本は他にないのではないだろうか。著者の有能さが窺える。読者として考えなければならないのは、情報開示を想定したときの記録の書き方、第三者の情報をどこまで書くべきか、援助のための情報の要不要をどう判断するか、という点だろう。著者は訴訟社会のアメリカでの経験の影響か、かなりドライに割り切っている印象があるが、我が国の現場レベルにそぐわない面が少なくないと思った。どう折り合いをつけるか考えなければならない。2018/02/23
たっきー
9
相談援助職の記録の書き方について詳しく書かれた本はこれまでなかったので、大変役に立った。名文と良い記録は別物。クライエントからの記録開示要求があるとはこれまで考えたことがなかったけれど、もしそうなったときにきちんと開示できるような記録を残すようにしたい。適切な用語選択をし、主観的な印象や見解にはその根拠を文章で示すことが大切。守秘義務と安全確保、他機関との情報共有の兼ね合いは難しいところ。リスクをきちんとアセスメントできなくては。2015/04/26
コジターレ
6
再読。2018/02/24
anchic
6
本書は主にケアマネジャーやケースワーカー等の社会福祉領域で働く人々を対象とした、法的措置への対応を視野に含む記録法を紹介している。本書で指摘されている記述方法は『自分しか見聞きしていない情報をいかに第三者に誤解を招かず理解できるように文章を綴るか』という点においては非常に役に立つ方法だと感じる。また、法的措置を受ける自分が携わる職場にもこのような記録方法を用いることは自分の身を守ることに繋がると思った。2014/09/25