内容説明
七◯年十一月、市ヶ谷の死地に赴く三島から「檄」を託された記者が四半世紀の沈黙を破って描く哀切の名篇。第十回新潮学芸賞受賞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
32
○三島由紀夫自決の直前から決行後までを、自決の日に三島由紀夫から呼ばれていた二人の内の一人である著者が交遊を主体に書いています。過剰な表現がないため読みやすく、特に第7章以降は興味深い内容でした。三島由紀夫の人間性や考えが伝わりました。ただ事件をリードしたのが森田必勝であるという推論の理由はわからなかったです。2023/06/13
風に吹かれて
12
ベトナム報道に長く従事した経験のある徳岡氏。ジャーナリストとして事実を追い求め時代を見つめてきた徳岡氏が三島由紀夫との交流やいくつかのインタビューを行ってきた経験と深い文学的教養を踏まえて描く三島像。三島の檄「われわれは戦後の日本が経済的繁栄にうつつを抜かし、・・・自らの魂の空白状態へ落ち込んでゆくのを見た。」に、時代の一側面が表されていることを静かに肯定しつつ書いた三島への鎮魂歌。2017/01/21
owlsoul
4
三島由紀夫が自決の現場に呼び出した二人のジャーナリストのうちの一人、徳岡孝夫による回想記。『今こそわれわれは生命尊重以上の価値の所在を諸君の目に見せてやる』という言葉を残し割腹した三島。彼が憂いたのは、国体を忘却し経済繁栄を追求する日本人の退廃であった。それを止めるには「生命尊重以上の価値」として伝統や文化をおくしかない。われわれは、その不自由な枠の中で規律を守りながら生き、そして死ぬべきだ。その不自由の中にこそ、魂と美が宿る。三島の強靭な信念に感服するとともに、「美学」というものの恐ろしさを垣間見た。2022/05/14
筑紫の國造
1
三島由紀夫が「檄」を託したのが、著者の徳岡孝夫。いわゆる「三島本」は腐るほどあるが、これは評伝ではない。副題が示すように、著者と三島由紀夫の交友録、と言った方がいいだろう。作家の文学的評伝、それも三島のような複雑な顔を持つ作家の評伝となると、勝手に自己満足的な解釈を加える人間は少なくない。しかし本書にはそのような側面はなく、事実を記録した一つの資料として、かなり面白くなっている。著者が文芸評論家ではなく、ジャーナリストであり、その範囲を逸脱しないように心掛けたのがよかったのだろう。2016/08/20
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