内容説明
宮野隆也のクラスに転入してきたのは、二足歩行のロボット、IMMID‐28だった。病気で通学できない一ノ瀬梨香という少女を、遠隔操作で動くロボットを通じて学校生活を送れるようにする実験だという。隆也たちは戸惑いつつも“彼女(ロボツト)”の存在を受け入れ、実験は順調なすべりだしを見せた。しかしある放課後、校内で級友が撲殺され、彼女の背中が被害者の血で染まっているのが発見される。殺害の動機は? ロボットと、事件の関わりとは?! そもそも“彼女”は本当に一ノ瀬梨香なのか――。「今から遠くない未来」を舞台に描く、青春本格ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じゅんぢ
42
読み終わったあとに表紙を見るとあらためて二人を応援したくなる。この二人ならどんな障害も乗り越えていける。そんな思いにさせてくれるいい表紙だと思う。2020/06/30
rio
38
転入生としてやってきた生徒は二足歩行のロボットだった。奇妙な転入生にも慣れてきたある放課後に級友の一人が撲殺される事件が起きる。友人の死とロボットの関わりを暗示する青春ミステリー。テーマ設定が興味深く、ロボットが日常生活にやってきたらどうするか、ロボットが人の生活に馴染めるのかという論点はそう遠くない将来本当に生じるのではないかと思いました。ミステリーとしてはやや薄めですが、論理的な議論や登場人物の心理描写が良かったです。2015/08/26
ジンベエ親分
36
石持浅海のSFミステリーにハズレはないなぁ。近未来の高校にロボットが転校してくる。それは病気で登校できない少女が遠隔操作で動かしているロボット。彼女がクラスに馴染んだ頃、クラスメイトが校内で撲殺される。彼女の状況は想像ついたし、犯人に関してももうひとつキレイにハマりきってない感じもするけど、このロボットであることを生かし切ったロジックは気持ち良い。そしてそのロボットの謎が彼女やクラスメイト、主人公に及ぼす影響、各々の対処はとても爽やかな青春小説風味。とても良かった。「もっとお気に入り」入り確定。2018/02/14
left7
36
相変わらずの特殊設定を堪能しました。石持さんの作品は、読みやすいうえにその特殊設定のためか、違和感のある一言に違和感を感じることなくサラサラ読んでしまい、終盤でいつも「そう言われれれば確かにそうだよな~」と思わされてしまいます。要するに今回もいつも通り自分で謎を解くことはできず、いつも通り面白かったということです。2016/04/05
よっち
34
とある大学付属高校の特進クラスに試験的にやってきた転入生は、通学できない少女が操作する二足歩行のロボットだった。そんな奇妙な転入生に慣れてきた頃、ロボットの周囲で連続殺人事件が起こる青春ミステリ。そのロボットは本当に少女が操作しているのか、殺人事件にロボットが関与しているのか。クラスの疑心暗鬼が深まっていく中でのロボットを操作する少女との交流。科学技術が進んだ近未来が舞台とはいえ、殺人の動機はちょっと斜め上だった印象。ただ実験によって絶望しかかっていた少女が明るい未来を信じられるような結末で良かったです。2015/07/22