内容説明
ネルヴァル、プルースト、ソレルス、ランボーの文学テクストにみられる〈反復〉の主題を、フロイト、ラカン、ドゥルーズ、ベルクソンらの理論を通して徹底的に展開・解剖する。
目次
Ⅰ
『シルヴィ』を読む──〈反復〉に関する二つの解釈
〈反復〉をめぐる諸問題の考察に向けて──フロイト・ラカン・プルースト
Ⅱ
死のシミュラークル──ドゥルーズと死
時間と反復──ベルクソン・プルースト
「謎の人」ヘラクレイトスのうちにニーチェが読んだもの
Ⅲ
詩はなぜ暗誦されるか──詩と反復をめぐる覚書
ソレルス『ドラマ』の実験性について──プルーストとの関連と対比から
一回的な出来事としての「作品」──いま、ランボーをどう読むか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
25
読み手の知力ではなくセンスに働きかけるという点で、本書は読み手を選ぶ本だろう。ネルヴァル、フロイト、ラカン、プルースト、ドゥルーズ、ベルクソン、ヘラクレイトス、ニーチェ、ソレルス、ランボーを往還しつつ展開される八つの小論が収められているが、それらはみな反響し(ズレながら)反復し合っている。まずネルヴァルの「シルヴィ」という小説を読み解く形で「反復」のエッセンスが抽出され、そのエッセンスをもとに、存在の現前性や時間及び言葉の捉え方において私たちが通常忘却しているものを浮かび上がらせる2020/05/01
v&b
0
冒頭の「『シルヴィ』を読む」が面白い。現前性としては生きる事のできない、死んでいる現在。この章、再読しよう。2009/08/23