内容説明
戦国の争乱期に遅れて僻遠の地に生まれたが故に、奥羽の梟雄としての位置にとどまらざるをえなかった伊達政宗の生涯を描いた『馬上少年過ぐ』。英国水兵殺害事件にまきこまれた海援隊士の処置をめぐって、あわただしい動きを示す坂本竜馬、幕閣、英国公使らを通して、幕末の時代像の一断面を浮彫りにした『慶応長崎事件』。ほかに『英雄児』『喧嘩草雲』『重庵の転々』など全7編を収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
159
伊達政宗、時代と地理的不利がなければ・・・ 個人的には青葉城の天守閣再現したらと思います。2017/08/08
優希
100
面白かったです。戦国時代や幕末が時代背景になった短編集。時代の流れが少しでも違えば英雄になれたかもしれない人々のことに思いを馳せてしまいます。悲しさとおかしさの中から感じられる切なさがいいですね。2018/01/26
壮の字
84
脈絡があるのか最後までつかめなかった、戦国・幕末ごっちゃまぜの短編集。戦国きっての教養人・伊達政宗に対する熱の入れようを考えると、長編で読んでみたかった。「貂(てん)の皮」はいままで読んだ司馬短編のなかでもダントツ面白かった。徳川初期に豊臣系大名でとりつぶされなかったのは黒田家だけかと思っていたら...脇坂甚内(安治)というこの人。賤ヶ岳七本槍のひとりで、どっぷり秀吉グループ。しかも関ヶ原では西軍に属しているにも関わらず加増されている。藤堂高虎の曲芸よりも上をいっている。「めでたいというほかない」。2016/12/25
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
74
伊達正宗の生涯を描いた表題作を含む短編集。名将伊達政宗はなぜ天下を取ることができなかったのか?信長、秀吉、家康などの天下人に対して決してその能力が劣っていたとは思えない。そうでなければ、東北の雄として勢力を持つ事などできなかったであろう。ただ、生まれた場所があまりにも都から遠く、ほんのちょっとだけ三英傑よりも後に生まれてきたためであろう。★★★
金吾
65
馬上少年過ぐは、表現が凄くよく政宗が詩人としてもすごいというのが感じます。話はどの短編も淡々として面白いです。司馬さんにかかれば有名であろうとなかろうと人物が生き生きしていると感じます。2020/04/03