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内容説明
「人間が真の意味で自分を自由であると認識できるのは道徳法則があるからであり、また自由が存在しなければ道徳的な法則をみいだすことはできなかった。」本書は、思弁的な理性を批判した『純粋理性批判』につづくカントの第二批判書であり、倫理学史上、最も重要な古典である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
45
道徳法則は普遍的なものでなければならないのであり、普遍的なものは必然性を伴わなければいけないのです。だから、必然性ではあり得ない、普遍的になり得ない幸福の原理が道徳法則になることはないんですね。要するに功利主義に対する拒否に繋がっていくわけです。功利主義は確かにある程度は他人の幸福を考慮するにしても個々の幸福が最優先の思想です。個々の幸福というのは経験的にしかわからないわけです。だから、幸福の原理には必然性は随伴しないですし一般的に妥当であるとまでしかいえない。つまり道徳法則ではないわけです。2023/04/06
かわうそ
45
この本でカントは万人に共通する普遍的な道徳原則というものを解き明かそうとします。 もちろん、普遍性には必然性が必要不可欠です。 また、必然性は経験的では決してあり得ないので、道徳法則においては心の傾き(感情など)という主観に依存するものを排除しなければなりません。 それゆえに仮言名法『〜ならば〜せよ』の代わりに定言命法『〜せよ』を道徳法則として用いるべきだと言います。なぜなら、仮言命法は主観的条件に依存するのであって万人に共通するものには適さないのですから。仮言命法で道徳法則が示せないのは当然です。 2023/02/09
chanvesa
19
その他の動物と比べ本能が衰え、壊れている人間の唯一の拠り所である理性を、「心の傾向性に奉仕することなくそれだけで意志を規定する場合にかぎって、真の意味で上級の欲求能力(70頁)」とすることは、近代では疑問の余地がない。ということは、自律的に「意志を規定することがあまりにできない」現状と、自由がフィクションと化していることが「いま」なような気がする。相変わらず内容が難しいのと、内容がガチガチ。スピノザを読んだ後に、善を「やむをえず快適さを獲得するための手段である(168頁)」と読むと頭痛がする思い。2015/03/22
ころこ
17
まず中山訳で読み、熊野訳か宇都宮訳で再読する予定です。本文と同量の解説が付してあり、「純粋」、本書、「存在と時間」に共通する本文に連番が付してあるというのは、恐らく長大な解説と本文を対照しやすい様にするためだと思われます。その肝心の解説が押し並べて参考に出来ないということもあり怪しさ満載ですが、中山訳の優れているところは[ ]で原文では省略されている部分を沢山補っていることです。そのことは、指示語をあまり使わないのとほぼ同義だと理解していますが、昔の訳で研究者が指示語を連発しているのをみていると、危うい訳2017/12/11
朝乃湿原
15
カントは道徳法則としての定言命法を提示する。すなわち「君の意志の採用する行動原理が、つねに同時に普遍的な法則を定める原理としても妥当しうるように行動せよ」という命題である。自己を規定する意志は現象界ではなく叡智界における理性の実践的役割であり、なぜその役割があるのかは根拠づけできない。思弁的理性を探求した『純粋理性批判』では現象界が舞台であったが、『実践理性批判』は叡智界の理性の働きを考察する。それゆえに抽象的でわかりにくい解釈が続く。それでも人間の道徳法則をとことん追求したカントの哲学意欲が滲み出ている2025/02/05
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