内容説明
明治・大正・昭和を通じ活躍した言論人、徳富蘇峰が、終戦直後から書き残していた膨大な日記を発掘。戦争中、大日本言論報国会会長として戦意を煽ったと戦犯容疑のため自宅に蟄居しながら綴り、『頑蘇夢物語』と自ら命名した日記には、無条件降伏への憤り、昭和天皇への苦言から東條英機、近衛文麿ら元首相らへの批判と大戦の行方を見誤った悔悟の思いが明かされている。解説:御厨貴(講談社学術文庫)
感想・レビュー
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Ohe Hiroyuki
2
『國民新聞』などを創刊した19世紀から20世紀にかけて活躍したジャーナリストが、我が国の敗戦後の状況を日々日揮に書き起こした一冊である。▼本書から分かるのは、敗戦後「日本の心的去勢」が一気に進む様である。著者にも心の揺らぎがあるようで、その揺らぎは「軍部への批判」に向いている。▼敗戦後の国内状況を知るには格好の一冊であるといえる。既に敗戦時には83歳であったが、敗戦に打ちひしがれながら著者はさらに12年の時を生きる。その生命力は本書からも伺えるところである。2019/12/04