ブルーバックス<br> もの忘れの脳科学 最新の認知心理学が解き明かす記憶のふしぎ

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ブルーバックス
もの忘れの脳科学 最新の認知心理学が解き明かす記憶のふしぎ

  • 著者名:苧阪満里子【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 講談社(2015/06発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062578745

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内容説明

買い忘れをする、知人の名前が思い出せない、電話をしたのに、肝心の用件を忘れてしまう……。多くの人が一度は経験したことのあるだろう「もの忘れ」。これは、けっして老化や認知症のサインだとは限りません。日常によくあるもの忘れの多くは「ワーキングメモリ」という、記憶システムをうまく使いこなせないことが原因だと考えられています。ワーキングメモリとは、目的を達成するまでの間、必要な情報を必要な間だけ、脳にとどめておくシステムです。認知症におけるもの忘れは、ワーキングメモリがうまく使いこなせないというレベルにとどまるものではありません。また、認知症には原因となる疾患があり、アルツハイマー型にみられる神経細胞での異常タンパク質の蓄積などの病変があり脳の病気といえます。では、たとえば買い忘れはなぜ起きるのでしょうか。買い忘れをする場合、買い物に行く途中で友人と出会って話に夢中になったり、買い物をしている間に新たに欲しいものを見つけたり、といったことがあるからではないでしょうか? ワーキングメモリの容量には限界があります。私たちは無限にものを記憶することはできません。ところが、憶えなければいけないことは絶え間なく出てくるので、不必要な情報を正しく判断して適宜消去していくことが必要です。どの情報を活性化させようか、どれを消去しようかと、ワーキングメモリが働いている時に他のことが起きると、注意がそれてしまいうまく働かず、必要な情報を記憶から引き出せないという事態が起きます。著者達が開発した記憶容量を測るテストを用いた調査によると、成績のよい人はたくさんのことを憶えているのではなく、必要な情報にだけうまく焦点を合わせていたことや、語呂合わせなどの工夫をしてワーキングメモリの負担を軽減していることが分かりました。もの忘れは、決して記憶力そのものが低下したからではなく、自分の記憶システムをうまく使いこなせないために起こるといえます。日々の生活を支えるワーキングメモリの機能を健やかに保つ方法は、私達の生活の中にこそあります。ワーキングメモリの仕組み、またうまく使いこなし健やかな脳の活動を保つにはどうすればよいのかを、最新の脳科学、神経心理学をもとに第一人者がくわしく解説します。(ブルーバックス・2014年7月刊)

目次

はじめに
第1章 もの忘れとワーキングメモリ
第2章 短期記憶とワーキングメモリ
第3章 ワーキングメモリを測る
第4章 ワーキングメモリとその脳内機構
第5章 加齢とワーキングメモリ
第6章 ワーキングメモリの発達
第7章 ワーキングメモリを強化する
第8章 ワーキングメモリと情動
「おわりに」に代えて──ワーキングメモリの健全な維持に向けて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

calaf

15
高齢になり記憶があやふやになってくる...実は、記憶能力そのものはそれほど落ちてはいないものの、記憶を消す能力が落ちているからうまく働かなくなってきているというのが実状であるらしい...なにせ、短期記憶であるワーキングメモリは老いも若きもその容量はほとんど同じであり、非常に限られた貴重なもの。有効活用する為には消しゴムで消す必要がある!ところが歳をとると(あるいは幼児期には)何を消すかの判断能力が劣っているらしい...それが原因!なるほどねぇ...2014/09/09

nizimasu

8
大体この本をとる人の8割ぐらいは最近、自分の記憶力に疑問を持っている人がほとんどではないか。かくいう私もそうなのだが、それは短期記憶装置の部分に問題が生じてくるという話でして細かい解説はチンプンカンプンなのですがイメージ法などで短期記憶を再びトレーニングで元に近く戻せるという話にようやく方をなで下ろした次第。そういう本なのかもしれません2014/09/15

まろにしも

6
★★★▲ 日常生活をスムーズに行うためには、「記憶」と「行動」を同時に実行することが重要であり、ワーキングメモリがその担い手となる。ワーキングメモリとは短期記憶と同義ではなく、イメージ化や反復等によって「注意」を目的対象に向け、逆に目的と関係のないものはシャットアウトするという、「注意」制御能力のようなものらしい。私見だが、掃除や料理を段取りよくこなす名主婦は優れたワーキングメモリを持っていると思う。2015/05/22

Uzundk

6
やや飛ばし読み。ここでは買い物の目的をど忘れしたり、言いたかったことが思い出せなかったりという短期記憶についての話。実験のデータを使ってワーキングメモリの概念と説明があり、専門的でやや読みにくいと感じた。まとめると、私達がワーキングメモリ記憶できる個数は4-7である。その記憶はエピソードや音韻などの形態を取るひとかたまりの情報である。短期記憶は文章を理解したり、論理を構成する上で重要で基本的な要素でこれらは使わないと衰える。会話や読書、情報機器は便利だが普段から記憶を使う事の重要性も語っている。2015/01/12

リック

3
タイトルから物忘れに関する本かと思わされるが、ワーキングメモリの概論書としても有用に思える。著者はこの分野で有名な方で基本的な実験がコンパクトにまとめられていると思う。 記憶力(短期記憶)の能力が落ちているのではなく、ワーキングメモリの中央実行系機能に物忘れ他の原因があるという。 ワーキングメモリは日常生活を送る上で欠かせない役割を果たしており、その能力は文章理解とも関連している。読書メーターを使われているような読書好きの方には一読するとなお読書に対する理解が深まるかも?!2015/12/22

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