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内容説明
事故3年経ってなお次々に浮かび上がる謎。福島第一原発事故の検証報道で独走するNHKメルトダウン取材班が、吉田昌郎・福島第一原発所長が遺した「謎の言葉」の真相に迫る。500人以上の関係者取材、政府事故調・吉田調書や東電内部の極秘メモなど超一級資料などを駆使して、未解明の7つの謎に迫るミステリー・ノンフィクションの傑作! (講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
60
現場の雰囲気がとても伝わりました。さすがNHKスペシャル!福島第一原発事故7つの謎について、NHKスペシャル「メルトダウン」取材班が詳細に追いかけた一冊。1号機の冷却機能喪失はなぜ見過ごされたのか?、ベント実施はなぜ遅れたのか?、爆発しなかった2号機で放射能大量放出が起きたのはなぜか?、消防車が送り込んだ400トンの水はどこに消えたのか?など、NHKが総力を挙げてこれらの謎に迫ります。結果的には、奇跡が重なり東日本壊滅が防がれたと思うと、原子炉の制御ができない状態はあってはならない事態だと思いました。2025/09/19
James Hayashi
33
事故後に多くの謎が残っており、それを解明し検証していく事は未来に運転するしないに関わらず必要であり、これは現段階での真相に迫る希少価値のあるモノ(未解明であるが)。他の書からは吉田所長のリードにより最悪のケースにならずに済んだという見解があるが、この本からは異なる見解が見て取れる。安部首相がリオ五輪でunder control などと言っているが、原発は人間の手中には収まっていない。不測の事態に対応できず、再稼働していくのだろうか?2019/07/08
1.3manen
31
謎に丁寧に向き合い、粘り強く解明して教訓を得ていくしかない(7頁)。スクラムとは、原子炉の核分裂反応を止めるため制御棒と呼ばれる装置を原子炉に挿入すること(17頁)。現場は免震棟と中央制御室(42頁)。IC機能停止の見過ごしに潜む問題を防ぐには、記録を読み解き、関係者の声に耳を傾け、教訓を導くのみ(53頁)と反復される。ベントは格納容器の圧力上昇時、壊れるのを防ぐための最終手段。内部圧を下げるが、外部に放射性物質入りの気体を意図的に放出(64頁)。2015/02/02
リキヨシオ
25
地震と津波による電源喪失で1時間後には緊急対応マニュアルにない異常事態が起きていたのは驚きだ。政府、本店、現場による事故後の対策がマニュアルに想定されてない事態ですべてが裏目に出る結果…この作品で取り上げられた7つの謎は、1・1号機の冷却機能喪失が何故見逃されたのか。2・ベント実施は何故遅れたのか。3・ベントは本当に成功したのか。4・爆発しなかった2号機で放射大量放出が起きたのは何故か。5・消防車による4百トンの水はどこに消えた。6・何故緊急時の減圧装置が働かなかったのか。7・格納容器が壊れたのは何故か。2015/10/30
coolflat
20
吉田所長らがいたから福島原発事故はこの程度ですんだという論が一般的になっているが、違うということ。むしろ吉田所長らのように原発の仕組みを細部まで知らなかった人達が原発に携わっていたからこそ、福島原発事故はレベル7もの過酷事故になったという事だ。特に1号機のICの問題は典型的だ。津波直後から動いていなかった事に、誰一人気付かなかった。ICが止まっている事に気づくチャンスを何度も見逃しているのだ。1号機のメルトダウンを防げば、その後の展開は大きく変わっていた。少なくともレベル7もの過酷事故になる事はなかった。2016/05/03




