内容説明
我々の言葉はどこからきたのか。ベストセラー『日本語練習帳』の著者は南インドのタミル語に着目した! 不世出の学者の波乱の人生を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奥澤啓
53
『日本語練習帳』等で、一般にも広く知られた国語学者大野晋の評伝。国語学者の伝記というものは初めてだ。下町の貧しい商家に生まれ、少年時代は図書館で読書に没頭したという。山の手の暮らしへの劣等感。東大での国語学の碩学橋本進吉の厳しい指導。戦後の国語改革の杜撰さにはおどろく。大きな反響を呼んだ「日本語・タミール語語源説」を立証するための研究とメディアからのバッシング。晩年は国語教師の育成に時間をさけなけかったことを悔やんでいたという。学問に邁進した人間の人物像が浮びあがる。旧制高校世代の骨の太さを再認識した。2015/01/09
まかあい
4
思わず吹き出したところ。「大野先生の奥様を三十五年以上もなさっているとは、大変なことです。もうそれだけで、調停委員の資格は十分です」 居住まいを正したところ「学問というのはね、深めれば深めるほど、自分にわかることがいかに少ないかが、わかってくるものなんです」2016/07/17
katta
3
晩年、雑誌などで好々爺とした様子を見ていただけに「抜き身の刀」と呼ばれるほど、激しい国語学者であったことは知らなかった。日本語の発祥が古代タミル語であるという説はどこかで聞いたが、彼の信念と実績を知り、言葉を生業とするものとしてきちんと検証しなければと思う。こういう作品を評伝と呼ぶのだ。2009/11/09
Tatsuya Osada Suzuki
2
日本語練習帳の著者、大野晋の評伝。 日本語の源流はインドのタミル語にあるとの説を唱え、最晩年は日本語の乱れを憂い、その教育に力を注いだ。 二百万部超売れた日本語練習帳の印税は、南インドからタミル語の専門家を日本に呼び寄せるために使ったそうです。 曰く「助詞の『から』と『ので』はどう違うか?」「(子どもを)本嫌いにさせる一番簡単な方法は、読書感想文だよ」「外国語の発音はテストまでして覚えさせるけど、日本語の発音は教わらないままだよね。奇妙だと思わないかい?」 含蓄に富んだ言葉ですね。2014/04/26
Kyoko Nakatsuji
2
図書館で見つけて、なんとなく手にとってみたので、大野晋氏の著作とか研究は全くといっていいほど知らないのですが、高校時代に由緒ある家柄とか資産家の子息といった「多力」の人に囲まれて、自身の「少力」さに愕然とする部分はなんだか共感できたし、橋本進吉とか時枝誠記といった日本語教師の勉強をした時に名前だけは覚えた人たちも登場したり、1946年の当用漢字・現代かなづかいが制定されるくだりの歴史的な話もでてきたり、と思った以上に楽しんで読みきりました。2014/02/27
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