ハヤカワ・ミステリ文庫<br> アデスタを吹く冷たい風

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ハヤカワ・ミステリ文庫
アデスタを吹く冷たい風

  • ISBN:9784151811012

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内容説明

謹厳実直の士、そして妥協なき謎の解明者〈テナント大佐〉。彼が活躍する4篇を収め、「復刊希望アンケート」で二度No.1に輝いた伝説的短篇集がついに文庫化。全7篇収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

89
図書館では閲覧のみ、許された本だったので図書館内で読了。革命によって生まれた軍事独裁国家で起こる謎を解き明かすテナント少佐は渋い。しかし、彼の謎を解いた所で下す裁きはいつも苦い。「獅子のたてがみ」と首飾りが紛失した理由に共感してしまう「国のしきたり」も好きだけど、一番、印象的だったのは「良心の問題」。クルリと反転する加害と被害の関係に「キャンプ・サンダウン」をおもいだしてしまう。クスリと来たのは「うまくいったようだわね」。男ってバカだね~。「玉を懐いて犯罪あり」は最後で明かされる探偵の名にニヤリ。2016/08/24

やきいも

89
長い間発売されてなかった翻訳ミステリーの短編集です。早川書房が復刊希望の本のアンケートをとると必ず上位にランキングされてました。そんな幻の短編集がついにはじめての文庫化です。読んでてストーリーがわかりにくいところもややありますが、「しぶくて味のあるミステリー」を読みたい方は楽しめると思います。「自分らしく生きていく」事にこだわるテナント少佐が主人公の短編にはハードボイルド的な雰囲気が作品中に漂います。「玉を懐いて罪あり」は有名な密室物の短編です。2015/06/25

ペグ

86
佳品揃いの7作品。4作に登場するテナント少佐の風貌は、痩身長軀、こけた頬、陰に隠れた眼、右脚を引き摺って歩くのは義肢のせい。寡黙で冷たい印象。しかし「共和国」と呼ばれるこの国でどのように事件を決着に向かわせることができるのか〜冷静沈着なテナントの描き方は秀逸。復刊されて読めるありがたさを感じつつも、黒原敏行氏、中山善之氏による訳を切望しています!2019/04/04

雪紫

61
「有栖川有栖の密室大図鑑」にて「北イタリア物語」の題名で紹介本。その「玉を懐いて罪あり」が密室を差し引いてもかなりユニークな作品でこれを読むだけでも価値があったかも(勿論他の作品も)。少しずつ隠していた事実が明らかになるこの感じ、たまらない。共和国とは名ばかりの独裁国で自分なりの信念を持つテナント少佐物もっとないかな(ない)と思う(だからこそ表題作のタイトルがとても良い)。テナント少佐の中だと特にいちおしは「獅子のたてがみ」。それ以外は「玉を懐いて罪あり」が特に良かった。2021/01/13

Panzer Leader

51
スペインをモデルにした軍事独裁国家の憲兵を務めるテナント少佐の4篇とノンシリーズの3篇を収めた切れ味抜群の短編集。簡潔な描写の中で共和国の閉塞感、少佐の矜持がうまく描かれていている。スコルツェニーとスペインの関係の史実を知っていると思わずニヤリとしてしまう。2017/05/07

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