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内容説明
上杉謙信と聞いてまず思い浮かぶのは、どのようなイメージだろうか。あの信長軍団を破った戦国最強の武将、毘沙門天を崇拝する敬虔なる仏教徒、生涯女人を近づけなかった変わり者、大酒飲み、武田信玄の永遠のライバル……。これらの事からわかるのは、まず戦国時代には類を見ない異色の人物だということである。事実、謙信の場合、領土欲から合戦を仕かけるということはなかった。すべての戦いが正義という大義名分のもとになされたのてある。著者は取材を重ね、史料に当たるうち、謙信の重大な欠点に気づいたという。それは実に短慮な性格であったということ。気に入らない部下を大勢の前で叱責する、思い通りにならない部下に嫌気がさし責任を途中放棄してしまうなど、明らかにリーダーとしては不適格な一面がある。著者はそこに謙信の武将としての限界を見た。信長と最も異なるのがその点だという。これまでの天才・謙信像を覆し、その内面を赤裸々に描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIKETOM
8
先にあとがきを読んで驚愕した。「合戦のやり方は、おせじにもうまいとは言えない(中略)彼の下知に従った将兵にとっては救いがたいところがあったのではないだろうか」「この時代、彼ほど国人衆や部下に背かれた武将もまた稀ではなかっただろうか」上杉謙信といえば軍神とも称され、勇猛な越後兵を統率して勝利していった戦国時代トップクラスの猛将とばかり思い込んでいた。まさかねえ。ただ、これには訳がある。謙信は、政治面に関してはまったく不向きな人間だったようだ。足利義輝や上杉憲政らに心からの忠誠を誓い損得抜きで戦ったり、2017/11/04
ゆうへい
2
これまでとは違った上杉謙信が描かれています。通説のイメージから離れていて、謙信以外の人物の設定には無理がありました。文体は読みやすく、かなり興味深かったです。小説としてはやや迫力を欠いていましたが、読む価値は十二分にありました。