内容説明
おれの名は朽網康雄(くさみやすお)。この街でただひとりの探偵。喫茶店でハードボイルドを読みながら、飲むコーヒーは最高だ。この世界は、生前の記憶と人格を保持した連中が住む電脳空間。いわゆる死後の世界ってやつだ。おれが住むこの町は昭和の末期を再構築しているため、ネットも携帯電話もない。しかし、日々リアルになるため、逆に不便になっていき、ついには「犯罪」までが可能になって……。[解説 池澤春菜]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
友和
9
電脳空間を舞台にした連作中篇でSFミステリー。さくさく読めてよかった。2015/09/26
羊山羊
6
もしハヤカワから出ていたら、まず間違いなく「SFハードボイルド」なんてオビがついてたろうなぁ、と思う。死後、記憶のみで暮らしてゆくという世界が実現された中で繰り広げられる、ちょっと優しいハードボイルド。舞台が、昭和の町並みを再現した場所である、というとこがまた渋くていい。主人公の朽網氏のとぼけたところもいいし、皆なかなかキャラが立ってて読んでいて面白かった。満足!2015/06/15
綺楽院 /kiraku-in
3
世界観の設定としては、よくあるがよくできていてさもありなんというところまで含めて面白かったです。その世界に駒を乗せてシニカルにユーモアにかる~く、それでいて味わい深く仕上げていて。長編だしてください。面白かったです。って、でてたのか!2015/09/13
浅木原
3
前半は再読なんだけど、よく考えてみたら10年前に読んだとき「設定は面白いけど話はあんまり……」と思ったんだった、と読みながら思い出した。設定が変わってリアルになるたび不便になっていく仮想現実で作られた死後の世界という舞台で、コテコテの私立探偵小説をやる話なわけだけども、設定の面白さが話の面白さに繋がってないよなあやっぱり。単に話がややこしくなってるだけだと思ふ。いやま、主人公が愛読するら古典的ハードボイルドに愛はないし、舞台の昭和60年は自分が生まれた年だし、読者として選ばれてないだけかもしれない。2015/07/26
m.m
2
読みやすかったが、死後コンピュータの中にある仮想現実でもう一度人生を送れるという設定でのお話しを忘れがちだった。2015/11/13