内容説明
『男はつらいよ』シリーズで日本映画の金字塔を打ち立てた山田洋次監督。その最新作『おとうと』の撮影現場に3カ月密着。その膨大な資料と関係者への詳細なインタビューから、山田洋次が映画づくりを通して描こうとする真髄を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Isamash
21
明大卒のスポーツ、社会、経営等のライター新田匡央氏による2010年著作。幸せの黄色いハンカチーフ、たそがれ清兵衛等、ハッピーエンドは分かっていても感動して泣かされてしまう山田洋次監督による映画は自分にとって大きな謎。本書を読んでもその謎は残るが、観客にとっての希望成就と本物感の共存に徹底的に拘り続ける監督の姿勢が、吉永小百合と鶴瓶出演の「おとうと」の撮影現場への取材を通して描かれる。同時に前から順繰り撮影は今も行なっているが、山田組スタッフは維持できなくなっている映画界の変化の現実も丁寧に書かれてて関心。2022/04/27
ことぶき2011
1
日本映画全盛期を知る監督も少なくなってきた中、まだまだ現役で活躍される山田洋次監督。すべての作品が好きってわけではないけれど、日本の良心を描き続ける尊敬すべき方です。数年前に、まとめて寅さんシリーズを観たのですが(といっても全部は観ていない)、寅さん作品はもっと評価されていいんじゃないかってくらい面白かったです(とくに初期)。これからも、まだまだ良質の映画を撮り続けて行ってほしいです。ちなみに、この本は読み物としてはやや退屈だったかな。もっと山田監督の声が聞きたかった。そういう意図ではない本なんですけどね2012/07/02