内容説明
フルートが得意でフランスに憧れる大学生だった著者は難病を発症し、視力と聴力を失う。一切の光と音を奪われた孤独にあって彼女は言う。障害と幸せとは関係ない──本人紹介の新聞記事が「HAPPY NEWS 2012」大賞の感動エピソード、待望の書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あん
78
難病で聴力と視力を失い、更には車椅子で右手も上手く動かせなくなってしまった女子大生が、復学し「自分にも役割がある」「人の役に立ちたい」と行動を起こすまでの実話です。 健常者が盲ろう体験をしてもあくまでも疑似体験で元に戻せるけれど、彼女は常に音のない暗闇の中に生きている。 中途障がいを認め必死に前を向こうと葛藤する姿が胸を打ち、毎日の生活に不平不満ばかりの自分が恥ずかしくなりました。 ぜひ多くの方に読んでもらいたいです。2016/04/09
ゆみねこ
57
1988年9月9日生まれの荒美有紀さん。難病で視力・聴力を失い、絶望の中から生き抜く決意をしたご本人の手記。我が子と同じ年齢ということで他人事とは思えず、母目線で読了しました。突然失われた当たり前の日常、彼女の感じた孤独感。ぜひ一読していただきたい1冊です。2016/04/23
美登利
57
短期間で中途障がい者となった彼女。読んでいると随分とわがままな女の子?と感じたりもしたけれど、自分自身に置き換えてみれば、いきなり今まで支障もなくできていた生活に不安と何故私がという怒りは、当然のことだと思えてきました。親の年齢である私からすればみゆさんのママの頑張りにこそ感銘を受けました。愛する我が子の突然の病、始終付き添っていなければならない事。そんな中でみゆさんが自分の障がいを受け入れ周りの人々との関わりを見つけ出した時、私までほっとしました。様々な努力で自分の使命を見つけたみゆさん良かったです。2015/05/04
ぶんこ
51
16歳に発症した病の為に中途盲ろうになってしまった美有紀さん。日本にもヘレン・ケラーのような障害を持たれた方々が大勢いる事に驚きました。生まれつきと中途盲ろうと、どちらがとは言えませんが、美有紀さんの場合は中学でニュージーランドにホームステイ、高校では吹奏楽に夢中になりと、やりたい事をやってこられて良かったなぁ。やりたい事をやれる時にやっておく事の大切さを日々痛感していただけに、幸せな少女時代にしてくれていたご両親の素晴らしさを感じました。この親にしてこの子有り。障害にめげない美有紀さんアッパレ。2016/08/10
がらくたどん
50
9月から機会があって県主催の「盲ろう者通訳介助員養成講座」に参加している。ちょうど三分の一の日程が終わったところで講師紹介の本書を読んでみた。因みに「盲ろう者」とは「盲者」と「ろう者」ではなく「盲」と「ろう」の重複障害を持つ方達。人は五感で外界を知覚するが、視覚8割聴覚1割と言われている。つまり知覚の9割を遮断される障害。本書は10代で突然発症した難病で徐々に聴覚を失い順応しようとした矢先に視覚も失った執筆時20代の女性の手記。「普通に接して欲しい」と「大変さを分かって欲しい」の間で揺れ動く心が胸を打つ。2025/10/10




