内容説明
再読必至。誰にも真相は見抜けない!2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。現地の元少年兵3人が起訴されるが、ロイター通信社の記者コニーだけはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。2年後、バグダッドでマッケンジーに遭遇したコニーは、嗜虐趣味を持つ彼に拉致監禁されてしまう。3日後に解放されイギリスに戻った彼女は、マスコミを逃れて田舎町に隠れ住む。解放時にほぼ無傷だったうえに、あいまいな証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さないコニー。彼女はいったい何を隠しているのか? 圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。/解説=松浦正人※紙書籍版とはカバー画像が異なります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
最初に起こった事件とこの主人公の記者としての嗅覚である人物をうがっていくが逆にその後、監禁されるということになります。そこからこの事件が、と思っていると別の事件が、ということでどのような決着になっていくのかなあという感じがしましたが、心理描写でうまく読者を引きずり込む妙はたいしたものでうまくまとめてくれました。私は「その女アレックス」を思い出しながら読んでいました。2015/06/11
*maru*
62
5人の女性を殺害した容疑で、3人の元少年兵が起訴された。事件当時、別の男に疑いの目を向けていたロイター通信の記者コニーの前に、疑惑の男が現れる。再会、拉致監禁、“無傷”の解放、空白の3日間─。饒舌な登場人物たちを疎ましく思うとともに、主人公の職業や目的を考えればごく自然な流れであって、小出しにされる情報との合わせ技で謎に深みが増す見事な構成だった。警察があの場所を見落とすことがあるだろうかなどのモヤモヤもあるにはあるが、え?これも深読み案件なの?と最後までウォルターズの思うつぼ。深い…そして巧い。2020/03/18
スカラベ
52
合わなかった。本書を超える心理サスペンスは現れないとか、最高傑作という帯に釣られて読んではみたが、パンチのあるストーリー展開がなく、読者の不安感を煽るためなのかいわゆる心理描写が延々と綴られる。最初こそ、拉致監禁された戦地特派員のコニーが何故何も話さないのかとか、昨今の時事的・社会的な問題を織り込んでいるところはちょっとのめり込んだが、その後本当にハラハラドキドキのサスペンスは何も起こらず、取って付けたような謎解きがあるだけなので、なかなか読み進むことができなかった。再読必至とあるが、たぶんもう読まない。2015/09/10
barabara
50
今回のはちょっと…私の待ち望んでいたミネットではなかったようだ。中東から舞台が変わってそれは魅力的な設定だったが、ジェスが実は素晴らしい人というのは読者にはすぐに分かるわけで、結局キチ相手に復讐するという図式にはかなりガックリ。カテゴライズすると今作は「遮断地区」タイプで、私が好みなのは「養鶏場の殺人」や「女彫刻家」「破壊者」のようなじっとり心理サスペンス的なタイプだからかなぁ。舞台が現代なだけでも印象が180度変わるんだね。完2015/06/23
キムチ27
45
悪魔の羽根とはヒロイン、コニーがトラウマをもってしかるべき相手の背中のタトゥー。おぞましいレイプ事件の後解放・・「無事に帰ってきて、何も語らない」からこそじわじわとした恐怖の心理・・になっていくかと期待した向きが悪かった。起こらない・・本当に何も。挿入されるメールで状況が刻々と(結構ぬるいけど)展開していくと並行して饒舌すぎるほどにお喋りが続く。最後に何回か小出しでモノトークが継ぎ足されるが「マッケンジーって殺されたん?」はもやっとしていた。2015/08/18