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内容説明
生きとし生けるものすべては成仏できる――。鎌倉時代に生まれた浄土仏教は、衆生救済のみならず、悪人でさえも念仏を唱えれば必ず救われると説く革命的な思想であった。本書は、日本思想を長年研究してきた著者が、法然・親鸞・一遍という3人の宗祖の峻烈な人生とその思想の系譜を読み解く。「観想念仏」から「口称念仏」へと転じて民衆に極楽往生の門を開いた法然。「御影」と呼ばれる肖像や伝記『醍醐本』をもとに、法然の原点を辿る。なぜ親鸞は法然の弟子となり、「悪人・女人救済」の仏道を説いたのか。「親鸞は源頼朝の甥だった」という視点に立つと、親鸞の4つの謎が解ける。すべてを捨てて遊行の旅へ出た一遍。彼が踊り念仏に辿り着いた経緯を、「漂泊」「捨聖」「詩歌」「踊り」というキーワードから探る。「梅原日本学」を打ち立てた知の巨人が、生き方や死に方、そして21世紀を生きるヒントとしての「共生」の思想について語った一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
19
碩学・梅原先生が「法然ラヴァー」であることを堂々告白するところがこの本のヤマ場だ。どうやら、梅原さんは法然さんの「心の闇」に共振したらしい。実は親鸞さんより先に悪人正機の考えを表明していた法然さん。温顔で智慧第一と呼ばれたアノ法然さんがなぜ「悪の自覚」に至ったのか?というのが梅原さんの問題設定だ。歴史探偵ウメハラは、法然の父はド田舎のゴロツキ警察署長のような人であり、また一方で、家系的には渡来人秦氏の末裔として差別を受けた経験が「心の闇」を生み出し、悪の自覚に至ったと推理する。正しいか別にして、妙に納得。2016/07/23
maki_kus
9
哲学者・梅原猛先生の講演を再編した一冊です。全編を通してお人柄が滲むような柔らかい語り口が印象的です。しかしその考察は文献に裏打ちされ、長年の研究を経て鋭く精悍なものとなっています。親鸞の章では、生涯の謎と伝記を追うあまり浄土真宗の思考に迫るという内容からはいささか離れていますが、これも限られた紙面では止むを得ないでしょう。読み物としては良質です。最終章では日本思想の根底は天台本覚思想であると看破し、草も木も国土も全てが成仏できるという思想が独自に日本に根付いた理由を、文明論の観点から考察しておられます。2015/09/26
くらひで
6
浄土宗の開祖である法然、浄土真宗の親鸞、そして時宗の一遍の生い立ち、思想、活動内容などをわかりやすく記した伝記。それぞれの仏教界の偉人の人柄や煩悩なども垣間見えて、親しみを感じられた。著者がひとつの宗教の信者という立場で信仰する宗教に偏った解釈をもって記しているわけではなく、哲学者という中立の立場で書かれている点も評価できる。また、著者が哲学を目指した恩師との出会い、西洋哲学から東洋哲学に研究対象を変遷させた経緯も綴られ、興味深い。日本人の思考の根幹にある「共生」は、再評価すべきだろう。2016/10/04
SS
3
思想としての天台と実践、布教としての浄土宗。鎌倉時代の前も末法でしたが、あるいみ今の日本も同じかそれ以下、、、、2015/05/30
雪布
1
一遍上人について書かれた書物を探している時に本著に出会ったが、今までの観念に囚われない新たな説がいくつも現れて驚かされた。それもトンデモ論ではなく、ちゃんと引いた書物を紹介した上での説得力ある説。日本の浄土教に少しでも興味があれば、読んで損はない。2015/05/30
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