講談社学術文庫<br> 死産される日本語・日本人 「日本」の歴史―地政的配置

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講談社学術文庫
死産される日本語・日本人 「日本」の歴史―地政的配置

  • 著者名:酒井直樹【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2015/05発売)
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  • ISBN:9784062922975

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内容説明

「日本語」や「日本人」は、それ自体としてあるものではないが、好き勝手に作られる想像の産物でもない。それらは国家統合の理念として近代に要請され、だからこそ「純粋」でなければならなかった。この要請は、失われた過去に「純粋」な存在を求め、そこからの連続によって現在を正当化する。だから、日本語も日本人も、生まれた時には、すでに死産されている。──幾多の議論を巻き起こした問題の書、新稿を加えた決定版で登場。(講談社学術文庫)

目次

学術文庫版の序
はじめに
I 近代の批判:中絶した投企──日本の一九三〇年代──
II 国民共同体の「内」と「外」──丸山真男と忠誠──
III 国際社会のなかの日本国憲法──社会性の比喩としての〈移民〉と憲法──
IV 遍在する国家──二つの否定:『ノー・ノー・ボーイ』を読む──
V 歴史という語りの政治的機能──天皇制と近代──
[付]自己陶酔としての天皇制──アメリカで読む天皇制論議
VI 死産される日本語・日本人──日本語という統一体の制作をめぐる(反)歴史的考察──
VII 「西洋への回帰」と人種主義──現代保守主義と知識人──
[付]人種主義に関する提言
あとがき
初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

livre_film2020

34
丸々1ページ何を言ってるのかわからない時がある等私の理解力・知識不足を認めつつ、この酒井氏が何を言いたかったのか簡潔にまとめる。「日本語・日本人」は近年になって生み出された概念であり、この概念には対となる存在ーーつまり、「西洋」が必要不可欠だ。西洋を模範として自己を定義してきたため、西洋に憧れ、日本以外の「東洋」を見下すことが可能となってきた。これが現在の人種差別につながる。自己規定の核に人種差別があるため、我々は人種差別から逃れることができないというのが酒井氏の主張だ。(続く)2022/10/06

awe

5
第1章は西洋というカテゴリーの空虚さについての議論。白人性もそうだが、常に“そうでないもの”の有徴化によって無徴の存在がカテゴリー化される。そうして普遍的奈装いを見せる西洋に対し、日本は特殊であろうとする。ここで重要なのは、その日本の特殊性は必ず「西洋の普遍主義に統合」(p59)されることを必要とする。普遍主義と特殊主義は相補的なのである。3章の日本国憲法のあり方について。アメリカは前近代的であるという目を引く内容から議論が始まり、そうした前近代性こそ、実は近代が内在的に持つ雑種性であり、近代といえば2021/01/14

ドウ

3
『ナショナリズム論の名著』の中で特に気になったので。普遍主義=特殊主義を前提に、日本とアメリカのナショナリズムや、人種主義と植民地主義、題名にもある日本語・日本人は近代において死産という形でしか生まれ得なかったことなどについて論じた論文集。難解だけど、読み進めていく内に「ああそっか!」と気付いて背筋がゾクゾクっとすることが非常に多く、スリリングな読書が体験できた(良質なミステリを読んだ気分)。日本の人種主義と天皇制の不可分性が一番読んでて興味深かった。2016/07/27

mikuriya

1
非常におもしろい。「日本人論」の批判としては私の知る限りもっとも優れている。また天皇制についても客観的に描写できている。ここ最近でベストな本だ。2017/12/13

mim42

1
主旨はわかったが、天皇制の議論が唐突てわからなかった。2015/06/14

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