内容説明
小池文造が両国で目撃された、という。藤原道場で共に汗を流した仲ではあるが、もとより傲岸(ごうがん)きわまりない男だった。私闘に敗れ逐電した後、どのように命を繋いできたのだろうか。やがて、定町廻り同心・朽木勘三郎は宿命の対決へ歩みを進めてゆく(表題作)。勘三郎とその配下朽木組の痛快無比な活躍を描く全四篇。「時代小説に野口卓あり」と高らかに告げる、捕物帳の新たなる定番。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベルるるる
23
4話目のタイトル作でもある「隠れ蓑」がよかった。時代小説として短いけれど、とても楽しめた。人からは見えない内面にかかえる矛盾、書を愛し、花を愛でる、その一方で自分を過信し、簡単に人を斬る男が登場。若い日に朽木勘三郎と共に道場で汗を流した男が恨みを抱えて勘三郎と対峙する。2018/09/08
onasu
23
朽木組の捕物帖第2弾も、奇を衒わない、野口さんに期待した正統派、硬派な時代ものを味わえた。 そう言うのは、信頼し合った朽木組6人の男のチームワークと、揺らぎない「口きかん」の旦那の頭目ぶり。そんな、現実にはなかなかない心意気が、描かれた江戸の世と合致して展開されていく。 それは、ちょっと間違うと、危うい心持ちなのだけど、信じた道を迷いなく全うするという快さ。その味わいが、読み手に心地好さを運んできてくれる。 捕物の進展には、やや都合のよさも感じられたが、2014年の読み納めに充分な作品でした。2014/12/31
タツ フカガワ
12
シリーズ2作目は4話収録。”北町奉行所朽木組”というだけあって「門前捕り」では伸六親分、「開かずの間」では下っ引きの弥太が活躍。それも単に勧善懲悪にいかないところがこの作家らしいですね。表題作では、朽木勘三郎の剣客ぶりも楽しみました。2019/04/30
あかんべ
10
シリーズ1巻と2巻を再読した。捕物帖はたくさん読んだが、読みすぎたため印象に残らないことが多い。野口さんの捕物は、事件と関係ない鳥の物語の木兎引きが印象に残った。2016/03/15
コニタン
7
「隠れ蓑」での朽木勘三郎と小池文造との闘いは迫力があって良かった。朽木組の粘り強い探索と結束の強さががいちばん印象的でした。次回作も期待します。2015/01/23