内容説明
瓦礫の下に日常は消えた。僕らは目を背けない――。突如崩壊した高校校舎。築年数も浅く、皮肉なことに地域の防災拠点にもなっていた学校は、信じられないほど簡単に崩れ落ちてしまったのだ。数多の命が一瞬で奪われた一方、瓦礫の下で生き残った生徒たちがいた。すれ違っていた双子の兄弟、いじめっこといじめられっこ、たったひとりで取り残されながら恋人の無事を祈る少女、水と油の生徒と教師……淡々と過ごしていた毎日、「日常」のなかでは交わることのなかったはずの彼ら。生と死の狭間でそれぞれの問題に直面したとき、彼らの脳裡にはなぜか一人の少年の姿が浮かんだ――。青春ミステリーの旗手・山下貴光のみずみずしく鮮やかな筆致を存分に堪能できる本作。青春のさなかにいる少年、少女から、かつて青春を過ごした大人たちまで、今を生きるすべての人にこの物語を送りたい! 極限状態におかれた命が輝く、傑作青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りょうこ
24
京極堂読んでるせいか、現代文の様にサラリと読めた。この状況下で一番に思ったのは携帯は携帯しなけりゃダメだね。最後の最後に救いがあって良かった!2015/02/14
けいちゃっぷ
10
今となっては忘れたが、表紙からどのような話を予想(期待)したのだろう。 突然校舎が崩れ落ちた中で、ガレキの下での人間ドラマ。 短編の味わいもあってどれも悪くないのだけど、ハートウォーミングな話を読みたい気分ではなかったのでいささか面食らった。 402ページ 2016/09/09
たこやき
8
突如崩壊した学校。瓦礫の下に閉じ込められた面々が、その状況下で思ったことなどを題材にした連作短編集。個人的に、一番、印象深かったのはイジメ被害者と加害者が近くに閉じ込められた話。学校、という狭い空間の中あの、極めて狭い価値観によって隔てられた関係。それが、崩壊、と言う中で逆転していく。学校と言う閉鎖空間、その中のローカルルール。その強烈さと崩れたときの脆さ。それを強く感じたので。2015/05/08
つき
7
突如として崩落した、築10年の私立高校校舎。 崩落に巻き込まれた生徒たちや教師はガレキノシタで何を思い、考えるのか。 私は、こんな事態に巻き込まれるのは、御免被りたい。2017/10/08
シアン
7
青春小説だけれど、ジャンルに当てはめてしまうのは違うような気もする。崩落した世界で、高校生達が生き抜く話かと思いきや、全然違った。死を目の前にして、人は何を考えるのか。ヒューマン小説と言ってもいい。面白いというよりは、自分だったらどうするか、どう考えるかと思いながら読む作品。余談だが、表紙の子はセーラーだけど、確か女子の制服はシャツって文中にあったはず。2015/04/08
-
- 和書
- 完全版ぼくらの 〈5〉
-
- 電子書籍
- カリフォルニアホテルインテリア