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内容説明
キリスト教は、出現した当時のギリシャ世界において、既存の宗教の枠を超える「型やぶり」な思想であった。ユダヤ教から派生した「突然変異」ともいえるキリスト教が、ギリシャ思想の精髄を吸収しながら古代ローマ世界に浸透し、やがて近代ヨーロッパを覚醒させる。本書では、教義に内在する普遍主義の歴史的連続性を読み解き、修道院がその伝承を担った中世の世界をさぐる。近代主義者たちはキリスト教の歴史事実を意図的に否定するが、その歪曲がなぜ必要だったのかを考える。キリスト教という合わせ鏡をとおして、現代世界の底流にある設計思想を解明する探究の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
26
本書の目的を、著者は「近代西洋史観に意識的に持ち込まれた恣意的な二元論を否定することにある」と述べている。これだけを読んでも、何を言っているのかさっぱりわからない。このわかりにくさは、最後まで付きまとう。不親切な言い回し、知識の詰め込み、新書の内容にしては網羅的すぎるのだ。部分、部分はわかる。だが、意識的に持ち込まれた恣意的な二元論を否定するとは、何なんだ。2014/05/31
garth
11
さすがに話のスケールが大きすぎて、このサイズだと追いつかない感じ。キリスト教が「普遍性」の基盤になったというのは事実だろうが。「すでにカトリックを否定して、新たな宗教的信念を築きつつあるプロテスタント国においては、完全に受け入れられるわけではない。実際にヘーゲルはユダヤ教の近代性を全否定した」というあたりはイスラムに対する態度とも読み替えられそう。2017/01/26
プレイン
11
全く期待外れ。欧米を中心とした世界情勢の本質はキリスト教の理解なくては読み込めないと読み始めたが何を言いたいのか理解出来ずじまい。キリスト教に馴染みが日本人が世界史をより深く理解出来ないのは、反キリスト教プロパガンダによってバイアスのかかった西洋史を学んできたからというまえがきに惹かれて読み進めたが非常に分かりにくい。ターゲットとする読者層がどこなのかが不明だし読ませようとする努力もないです。2016/10/15
壱萬参仟縁
9
かつて世界史Bを担当して、どうもキリスト教のところはうまく語れないという気がしていた。だから、本著を借りてみたが。読書の点でいうと、修道院付属図書館は興味を引く(079頁~)。6世紀にはミラノ司教区のロマヌム、7世紀にはセザレに3600巻の蔵書あるもペルシャ人が破壊(084頁)とは残念。ボローニャ大学の場合、聖職者の輻輳で教会付属機関から発展したとのこと(087頁)。イエスの自由は真理を知っている状態(144頁)。どうやら、『創世記』の天地、男女が分たれた、とかいう辺りから勉強していかないといけないかな。2013/03/17
isao_key
8
まえがきで「近代はキリスト教に根をもつ」ことが日本人にわかりにくい理由は、非キリスト教国に住む日本人には、西洋近代のパラダイムを作ったキリスト教の要素が見えにくいという単純なものではなく、近代以降、西洋キリスト教諸国によって書かれた世界史(西洋史)が反キリスト教プロパガンダによってねじ曲げられているからなのだという。そこから本書の目的を「近代西洋史観に意識的に持ち込まれた恣意的な二元論を否定すること」としている。アメリカ大統領で神を封印して、公教育の場からキリスト教シンボルを撤廃したのはケネディだった。2016/07/07




