内容説明
STAP細胞の存在はほぼ完全に否定されながらも、依然として世間の注目を集め続ける小保方晴子。だが、事件の本質は別のところにあった。世紀の大発見がアカデミズム史上最悪のスキャンダルへと転落していく裏で何があったのか? 巨額の国家予算を奪い合い、市場での錬金術を目論んだ科学者、官僚、金融マンの暗闘に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
27
2014年に起きたSTAP細胞捏造事件は、再生医療を国策として育成を急ごうとする省庁や実業界の強い要請と野心があったとする問題意識に立って書かれた一冊。 事業化に直接結びつく技術を科学の世界が重んじている現在、利害関係者が蠢くなか今回のような論文不正は増えることはあっても減ることはないと懸念を示します。 今はなき「新潮45」の連載記事を書籍化。 STAP事件の背景について他にはない貴重な視点を提供しているだけに、時折毒の効いたゴシップが混ぜてあるのが、本書の価値を自ら貶めているようで惜しまれます。2019/01/03
宇宙猫
25
挫折。利権のために、ちょっとおかしな女の子を巻き込んで作り上げたって言いたいのかな。途中でうんざりして挫折。2017/07/15
しーふぉ
22
主な捏造した理由。野依理事長の成果主義。予算獲得。特定国立研究開発法人に認められるため。これに認められると億単位の報酬が得られる。笹井副センター長の山中伸弥への対抗心。ちょくちょく書いてあるリケジョ風の小保方の心情を推測して書いてあるのが蛇足。怖いのはこのケースが特別なものではなく他の人にも当てはまること。2017/06/18
しーふぉ
21
捏造の科学者を読んだ後に再読しました。こちらの本の方が補助金目当ての目線で書かれていたのが違い。再現性のない論文がアメリカでも補助金目当てで多数あり、問題となっているよう。2019/04/06
かんちゃん
17
2014年の1月に急に世の中に登場した『STAP細胞』と『小保方さん』と『理研』をめぐるあれこれをまとめた本です。正直、高校も大学も就職も完全に文系の私には『STAP細胞』についての説明や、『理系研究者の世界』については3割も理解できていないと思います。 この問題を私なりに総括したくて手にしましたが、全く無理なことでした。ただこの問題に対するマスコミの手のひら返しには恐ろしいものを感じました。もしこれを発表したのが、年配の男性だったら、あそこまでマスコミが盛り上がることも無かったなぁとも思いました。2015/11/09