内容説明
大学受験を控えて勉強に追い詰められた「おれ」のささやかな楽しみは、普段は喧嘩ばかりしている姉ちゃんが作ってくれる、美味しい夜食だった。豚丼にのってふるふると揺れる半熟卵は、未来を予感してふかす、僕のエンジンのようで……。表題作「半熟卵のエンジン」ほか、だれかに話すほどでもない、でも、自分にとっては大切だった場所、記憶――。青春時代の、触れたら壊れてしまいそうなエピソードを丁寧に扱った、短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おれんじぺこ♪(16年生)
37
よかった♪爽やかな風の吹く「青春小説」短編集。会話の中の言葉のチョイスがいい!表題作、なんかものすごくわかる。一人でご飯を食べるってなんか寂しいもんね、美味しいものも味気なく感じるもの。かといって家族全員が揃うまでは待たないけどね(笑)・・・いずれ出ていってしまう子供たちとの食事の時間は私も大切にしてるもの。私がご飯終わってても席には座ってなんてことない話をするようにしてる。美味しくない夕飯でも「母のトーク」が美味しいエッセンス(* ̄∇ ̄)ノ2015/02/11
しろ
14
☆7 デビュー作からの成長を感じるし、今後も注目したい新人さん。一作目で、挿画がふみふみこであることに納得。青春の些細な日常を繊細に、ロマンチックに描いている。ライトな読み心地も相まって、橋本紡を髣髴させるかも。「もうちょっと読みたくなる」というところで終わらせる感も巧い。割りと外れなしの青春短編集だった。2014/05/25
オナミ
12
ふみふみこさんの表紙に釣られました。あっと驚く展開もトリックも無い短編集。スカッとする訳でも無いのにとてもスッキリした読後感で、イライラも吹き飛びました。ほっこりしてます。2014/07/21
(●▲●)とらうまん(*^◯^*)
12
【★★★★★】青春小説の新鋭がおくる、ささやかな日常の物語を描いた作品集。 何気ないやり取りの積み重ねから生まれるのは、なにものにも変えがたい切実な「あの頃」という瞬間。 1話完結5つの短編それぞれに違った良さがあり、飾らないシンプルな表現や描写の数々も著者の前作ティーンズライフよりさらに洗練され、等身大の青春模様をじんわりと心に染み渡せる。何度でも読み返したくなるような、不思議な魅力に満ちた1冊でした。 個人的には中田永一とか、ああいった作風がお好きな方々にオススメしてみたい作品ですかね。2014/06/09
ミュポトワ@猫mode
8
図書館本。この本もテキトーに本棚から引っ張ってきた本です。内容は、甘酸っぱいww 著者が大学生だそうで、きっとこの時期にしかかけないそんな本です。 私の高校時代も思い出しながら、ふんわり香る甘酸っぱい匂いに大人になったなぁとか思っちゃう、そんな本でした まぁ私が料理大好きなせいで、最後のお話がレシピ本と化してしまったのは、まぁ私自身の汚点でしょうね(汗)読みながら、ジャガイモ安かったからカレーにすれば良かったとか、かぼちゃの煮物を副菜にしても良かったとかこの本を読んで思うのはきっと、私だけです…(汗)2018/06/24