内容説明
トカラ列島に住む金城昇は、スキューバ・ダイビングの世界記録に挑んだ。しかし、記録に3メートルおよばず失敗した。手造りの深海用カメラに映った謎の一葉の写真を持って上京した金城は、消息を絶ってしまい、あとを追った恋人、和子も行方不明になってしまった。捜査にあたった坊門刑事は奇書「東日流外三郡誌」を知る。写真をめぐって凌辱と殺人が……。壮大なスケールで描く伝奇ロマン傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まんだよつお
5
モチーフとなっているのは天下の奇書『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』。今では偽書であることが確定しているが、「発見」当時は学界、知識人をはじめ多くの人たちに影響を与えた。おそらく作者もその一人であり、妄想に火が付いて燃え上がる。アカデミズムから黙殺された奇書と、常識的文学者から異端視され続けた作者。マイナスとマイナスを掛け合わせるとプラスになるように、この異形の作品が生まれる。ところで、作者が東北に寄せる思いは強く深い。やがてそれは畢生の傑作『蒼茫の大地、滅ぶ』に結実するのである。2022/10/12
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- 和書
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