内容説明
かつては「新橋」「柳橋」に次ぐ格式と規模を誇っていた下谷の花柳界だが、昭和40年代に入り、人手不足と不景気で寂れゆく一方であった。そんな下谷の芸者屋「福乃家」の女主人・野崎こうは、母の代からの芸者暮らし。こうの芸者名は寿福といい、下谷一の踊りの名手の上に、ぼつぼつ50になろうというのに、どうみても40代前半の色も香も女盛りである。24歳になる娘の桐子は踊りの筋がよく、玄人筋からも将来を期待されていたが「芸者も、芸事も一切、やらない」の一点ばりであった。母娘二人暮らしの日常に、芸者をめざし新潟から出てきた田中市子という25歳の娘が住込みで見習いに入る。こうのパトロンは長年、造船会社の社長・井藤であるが、いまは妻に先立たれ、お手伝いと暮らしている。ある日、井藤は桐子に縁談を持ってくる。桐子の父は井藤なのか? こう・桐子・市子の女三人三様、日々を精一杯生きる姿が胸を打つ、平岩弓枝の花柳小説ここにあり。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Iso
8
久々の平岩弓枝さん。懐かしく読みました。読んでいるとちょっと自分がいい女になった気がするのは気のせいかな2015/05/03
goodchoice
3
入谷の花柳界というあまり一般に知られていない設定が面白い。そこで生き抜く芸者の母と、芸者を嫌う娘、そして自ら志願し新潟から住み込み修行に来る女性という三者三様の役割が振られ、人生の綾に翻弄されながら生きぬこうとする姿は本当に今は失われた人情を強く感じる。また、物語の中にあふれる1970年代の風俗が、非常に貴重な記録となっている。カバー絵もそのままの雰囲気を醸し出す。まさに花柳界を描いた名著といえる。good job!2015/05/04
Shiho F
3
下町の、粋な男女がでてくる小説が好きなんです。もちろん、こうや、桐子も素敵だけど、私が一番感銘をうけたのがこうのパトロン、井藤の器の大きさ。こんな男の妻だったら、花柳界に愛人が出来ても許せてしまうかも…。2015/05/03
波 環
1
飛行機待ちで空港で買った。昼ドラ並みな展開です。米倉涼子がちょっと年とった感じで主演したら似合うかんじ2015/05/03
どらこ
0
★★★2018/09/12
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