内容説明
モラル,いわゆる道徳とか倫理というと,人間に固有の客観的な理性に基づく判断だと考えられ,主観的で情動的な判断と区別される.しかし,最近の脳科学や進化心理学の研究によれば,モラルは,人類が進化的に獲得したものであり,むしろ生得的な認知能力に由来するという.脳自身が望ましいと思う社会は何かを明らかにした本.
目次
目 次
1 善悪という主観の脳科学
なぜ脳科学なのか/倫理の科学
【コラム】 科学と哲学の分離
2 五つの倫理基準
倫理学の用語入門/モラルジレンマ/道徳判断における感情の役割/モラルファンデーション理論/脳の中のモラルファンデーション
3 政治の脳科学
政治的性向を決める心理的要因/政治的信条とモラルファンデーションの関係/政治的信条と幸福度/政治的信条と相関する脳構造/政治的信条はどこまで生得的に決まっているのか
4 信頼と共感の脳科学
信頼の測り方/信頼を高めるホルモン──オキシトシン/オキシトシンのダークサイド/身体的接触の効用/信頼の遺伝子/幼年期の経験と信頼/共感の種類/共感の脳内機構
5 評判を気にする脳
負の互恵性/評判の起源/評判の成立条件/評判に対する脳の反応/眼の効用
6 幸福の脳科学
何が人を幸せにするか/ソーシャルキャピタル/友だちが多い人の脳/サルのソーシャルネットワーク/ソーシャルキャピタルの欠如としての孤独/孤独感の生物的基盤/幸福の二つの側面/生きがいを感じる脳/人それぞれの幸福
おわりに──脳が活かされる社会へ
付 録
モラル・ファンデーションズ・クエスチョネア(MFQ30)
対人性反応性指標:interpersonal reactivity index(IRI)(Davis,1980)
参考文献
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