内容説明
「形勢が不利なときは、歌でも歌ってニッコリ笑うような気持ちでいた方がいい」「人生と同じで、苦しいときに絶望的になってはますます落ち込んでしまう」(本文より)
将棋は終盤で決まる――。プロ棋士からも恐れられた終盤力を武器に、史上3人目の四冠王となった米長邦雄永世棋聖。2012年、惜しまれつつ世を去ったものの、彼の残した一局一局の将棋にはその魂が宿っています。本書は米長永世棋聖が「私の終盤の考え方を余すところなく述べた」名著。ひとたび読めば、その恐るべき終盤力、洞察力、人間力から多くを学び取ることができるはずです。
※ご注意 本書は、昭和59年に日本将棋連盟から発行された『逆転のテクニック 上巻・下巻』を再編集したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
根室
1
ところどころ米長流のウィットがあって、普通の読みものとしても楽しめました。不意に加藤さんが出てくると噴いてしまいます。 終盤の本ですが図面が割と多めにあって、難しい本にはよく置いてきぼりをくらう私でも、挫折なしに一読できました。読みの深さと相手の心を読む力が、米長さんの強みなんだなと感じました。2013/07/03
kinaba
0
面白かった。渋い。「盤面を見回したところ、どうも相手よりいいところというのがなさそうだった。それで記録用紙をのぞき込んでみたが、そうするとあった。」お互い最善手を指し続けたら負けることを読み切った上で、相手の顔を見、残り時間を見、はなばなしく散ろうとせずじっと手数を伸ばして耐えて紛れを伺う。曲者の名戦記集である。あと、例題や実戦例としていくつか載っている詰将棋、古典からの引用ももちろん含めて、めちゃめちゃ良い問題ばかりだ2014/06/08
ともあむ
0
盤面以外での逆転への導き方を教えてくれる一冊。人間同士ならではの指針です。苦しいときには女になれなど今の時代で考えるといささか不適切かもしれない表現も多少は存在するものの、それがまた米長先生の生きた軌跡。巻末の”比較的短い”将棋図巧・無双は暇なときに解いてみると楽しいです。2013/09/27