内容説明
名物警視として活躍後、実業界に転じて通信事業の世界で風雲児となった著者が、その晩年、刀剣研究を志し著した幻の名著。名刀妖刀にまつわる怪談奇聞の数々を、物語的興趣を湛えて活写している。昭和10年初刊以来、史上初の再編復刊なる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
71
端的に云えば、日本刀のカタログであり、文中に語られた怪異は、使用した刀が如何に優れものであるかのPRに過ぎないと断定してしまうのは行き過ぎであろうか?集録された怪異談が豊かで、その内容一篇一篇が興味深く感じさせるが故に惜しいと思うのは検討違いだろうか?怪談と看板を掲げるには、それぞれの怪談の後に付記された刀の由来が雰囲気をなし崩しにしている様に思えてならない。2015/08/10
澤水月
47
乃木希典の検視もした警察署長筆、文のプロでないだけに趣味家の生々しさ際立つ。妖しのモノに遭った時は天でなく地を払うのが基本のようだ(狐狸・蛇等の幻術多いからか)。刀、刃物はそれだけで魔を除けるとされる片鱗は戦国の世から幕末にも残っていると感じた。半ばには艶っぽい話いきなり並んだり終盤突如直接の知人の体験談が長々と。刀剣好きならばより楽しめるかと…竹書房からの刀剣怪談が余りに酷かったのでこちらも読む、楽しめた。著者の犯罪実話本も読んでみたい2016/04/13
Hugo Grove
16
怪しきなるものを斬ってすてたと言う名刀をそれに纏わる伝承と共に、集められたものであった。特に刀自体に興味がないので、さらさらと読み通した。出来ればこのような伝承を元にした持つものの気を狂わせ血を吸う妖刀の小説が読みたかった。2015/06/08
シガー&シュガー
15
戦国時代~江戸幕末の、刀剣が絡む怪を集めた読み物集。刀剣はこれみな怪や悪を斬るものであり、刀それ自体が怪になるお話はありません。とはいえ名刀の凄まじさはそれぞれのエピソードの中でよく伝わってきてかなり興奮しました。中では長めの「藤馬物語」は、著者が実際に剣術を指南してもらった師匠のお話だそうで、これが一番体温が感じられる面白い作品でした。解説に読める本堂平四郎自身の経歴も面白く、本堂サン絶対もっと面白い話知ってるでしょ!と歯噛みしてしまいました。本堂その人のことも誰かまとめてくれないかな。絶対面白いはず!2016/07/15
トールパパ
10
昭和初期に書かれた本がベースになっているため、口語体であるが、読みやすく、面白く思いながら読了。藤馬物語は筆者(本堂平四郎)が晩年の伊東藤馬に会っており、山女生捕りの物語にリアリティーのスパイスが効いた秀作。それにしても伸びた腋毛が1尺3寸(約40㎝)って、山女恐るべし!2015/01/16




