内容説明
漱石は三代目小さんを「天才である。あんな芸術家は滅多に出るものぢやない」と評した。僕たちには立川談志がいた。あの最後の名人は稀代の名文家でもあった。漱石に倣えば、少し前に生まれても談志は聞けなかった。少し遅れても同様だ。けれど、文章はいつだって読むことができる。談志師匠の声が聞こえてくる。没後三年、落語と人生を論じ尽したエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
96
タイトルはおもしろい。しかし、内容はおもしろくない。何がいいたいのかよくわからないところもある。よく見たら、出版されたのは亡くなった後じゃないか。あちこちに書き散らかした文章を出版社が何か出したくて編集したんじゃないかしら…と、邪推してしまうような内容だ。対談などとても面白いし、彼の考え方がよくわかる文章もあるのに、まとめ方に哲学がないから、談志さんの書いたものもつまらなく思えるのが結構ある。2015/06/05
ぐうぐう
31
「落語とは人間の業の肯定である」と言った立川談志は、自身も実に強烈な個性を放ちながら異端児としての人生をブレなく全うした。そんな中にあって本書を読むと、文をしたためる時だけ正気を取り戻していたように感じる。いや、そういう言い方だと不正確かもしれない。狂った自分を俯瞰して見ることで、そのブレのなさを再確認していた、と言うほうが正しいか。タイトルはいかにも談志らしいが、しかし天才に胡座をかく人ではなかった。本書収録の「滅多に演らない希少演目について、家元はこう考える」では、(つづく)2025/04/21
Nazolove
17
久々の家元本。 自分のこと家元ってよんでんだーなんて今更ながら感じた。 愛情でもって芸のことを語っていると思ったら突拍子もないことを言っててまさしく自由に語っている本であった。 破天荒を地で行ってると思ったら死とか病気とかについては対抗したり弱音を吐いたり、家元もやっぱり人の子だなーなんて思ってしまった。 先日志の輔師匠の落語を聞いたけど、一番家元の精神を受け継いでるのってやっぱり志の輔師匠なのかななんて思ってしまった。(ひとり会とか落語についての考え方が)2019/10/30
kiho
14
これまでに残した談志師匠のさまざまな言葉が並べられた一冊⭐亡くなられてからまとめたものなのでテーマ性が大まかなのは否めないが、独特の口調や斬新な発想、病を経験しての心情がにわかに伝わってくる…落語への思いも…。2015/08/01
ophiuchi
13
題名が秀逸。あまり好きではなかったけど、これを読んで高座を聞いてみたかったと思った。2020/02/29