内容説明
八十歳を過ぎた母が骨折をして病院に運び込まれたその日、美津紀は夫・哲夫の引き出しから花柄のティッシュ入れを見つける。施設に入った母に時間を奪われ続け、美津紀は思う。「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」親の介護、夫の浮気、忍び寄る更年期、老後資金の計算……実体験を交えて赤裸々に描き大きな話題を呼んだ、大佛次郎賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アーモンド
32
想像した内容とちょっと違った感じで物語が進んだので、ちょっと苦戦。我が身も年相応に衰える中、寝たきりで我がままな母とはいえ、ここまで母の死を願うようになるのかと、ちょっと悲しく複雑な気持ちになった。下巻へ2016/08/23
ビグ
31
自己中、我儘、分不相応…そんな母が死ぬ。娘は哀しむのではなく、解放され長年の願いがやっと叶ったと安堵する。そんな感情になってしまった子供の頃からの出来事を新聞小説のように綴られている。上巻は母が亡くなるまでの話し。引き続き下巻へ。2016/02/28
ユーカ
26
割とツラツラと書かれているが、これくらいが良いのだろう。重い。母が祖父を看取った日々を思った。下巻へ。2015/06/27
燃えつきた棒
25
著者に興味を持ったのは、ウィキペディアで彼女がポール・ド・マンの弟子と知って以来。 本作は、認知症の母への対し方が分からず、藁をも縋る思いで手に取った。 表題から実家で読むのは憚られたため、帰宅した時だけ読むことにした。 2016/04/24
James Hayashi
24
高齢化した母を持つ美津紀であるが、我儘を云われ続け振り回される。介護や夫の浮気、残された遺産など問題が目白押し。新聞小説であるため、テンポよく読みやすい。実力派らしい筆力を感じる文体。大佛次郎賞受賞作品。下巻へ。2015/07/13