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内容説明
不浄である泥の中から茎を伸ばし、清浄な花を咲かせるハスは、仏教が理想とするあり方。極楽浄土に最もふさわしい花とされる。このように仏教ではさまざまな教義が植物に喩えて説かれ、寺や墓のまわりも仏教が尊ぶ植物で溢れている。球根が土砂崩れを防ぐ特性から墓地を守る花として重宝されたマンジュシャゲ、疫病を避ける物質を持つため鬼門に植えられるナンテン、神聖な花の象徴であり寿命が長いために墓に供えられるキク。人気植物学者が、仏教が理想とした植物の生きる知恵を楽しく解説。植物と仏教の新たな魅力がわかる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
121
植物は古代から人々に多くのことを教えてくれた。仏典にもさまざまな植物が登場するという。仏教が理想とする植物の生き方とは。小難しそうだけど、著者の文章が親しみやすく、驚きながら感心しながらの勉強タイムとなった。解説は植物の由来、構造、仏事との関わりという豆知識にとどまらない。花は無心に咲くのか。生命が永遠であり続けるための植物の智慧とは。など、心の深い所に届く内容だった。植物は動けない。与えられた環境で生きる。 仏教はそここそに「植物の強さ」があると見抜いたという。植物みたいに上を見て伸びる人に私はなりたい2018/02/03
Major
52
「動けないこと、それにこそ「植物の強さ」の秘密があると仏教は見抜いた」最終行が深く心に残る。第三章までは仏教と縁の深い40種以上の植物達がそれぞれにもつ謎の解明かしで言わば各論である。第4章が総論(本論)にあたり、テンポよく繰り出される稲垣氏の論理的思考と考察に感嘆しきりである。氏が綴る雑草を始めとする植物のエセーには慈愛が溢れる。名文である。約一億年前に出現したハス。太っためしべが実と間違えられた。開花と同時に実を生じる仏法の因果倶時(原因と同時に結果が生じる)に例えられ高貴な花となった。お薦めだ。 2024/12/26
紅香
30
『百花春至為誰開ー美しく咲き乱れる春の花はいったい誰の為に咲くのか』植物学的に言えば答えは明解、昆虫を呼び寄せて受粉するため。全ての現象は生きるために営まれる。それは死ぬことですらも。。中でも人は他の動物と違って生きることに関係のない美しいと感じる心を持っている。人はこの地球上で唯一の観客。自ら森を纏い、様々な音や映像に、健気に咲く野の花に雑草に美を見出す。しゃがんで見つめる。耳を傾ける。空を仰ぐ。小さな瞬きさえ、どんな光景も見逃したくはない。そういったものをとらえることのできる澄みきった心でありたい。2019/10/03
よこたん
27
蓮の花と葉と根が大好きで、仏像を眺めるのも好きなので、迷うことなく手に取った本。ハス、シキミ、柊、南天、菊、ミョウガ、れんげ…などの植物が、仏教にからめてわかりやすく紹介されている。マンジュシャゲ(彼岸花)にあまりいいイメージを持っていなかったが、不吉・毒があるという迷信や言い伝えにはそれなりの理由があってのことだった。球根は飢饉や天災の時の食糧になり(毒は水にさらせば取り除けるらしい)、根を張って墓地や土手の土砂崩れを防ぎ、人々の生活を守ってきた。秋の田んぼのマンジュシャゲが楽しみになった。2015/09/06
とよぽん
21
中1の国語の教科書に筆者の文章が載っている。分かりやすく書いてある。この本の内容も然り。ゴマ、小豆あん、ショウガとミョウガについての文章が面白かった。そして、第4章、植物の生き方の素晴らしさに感動した。農学者の学術的な文章に感動するということが、自分でも意外なことで、でも、何だかうれしい気持ち。2016/05/28
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