内容説明
三十歳を前に、このままでいいのだろうか――。仕事に不満があるわけではないが、漫然と毎日を過ごす真帆。職場を見渡せば、“いい大人”なのに、自称・できる美人や勘違いモテ男、BL好きの人妻といった、言動が伴わない子どもな人ばかり。そんな彼らをやり玉に挙げて楽しむ同僚に、抵抗を感じながらも同調してしまう自分。真帆の胸の奥に生まれた小さな疑問はやがて……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わか
26
大好きな平山瑞穂さん。「ラスマンチャス通信」以来、いろんな新しいテーマに挑戦されていてすごいと思います。今回は会社の中にいるちょっとイタイひとたちのお話。イタくっても、本人たちは」いたって真面目に考えて行動してるから、そのギャップみたいなのがとても興味深かった。きっと私もイタイ人なんだろうなーなんて考えながらの読書でした。主な登場人物はアラサーの3人です。一番頑張れって思えたのは、頑張り屋さんの沙耶様でした。自称・仕事の出来る女です。彼女はただただ、真面目すぎたんでしょうね。面白かったです。2015/01/29
との@恥をかいて気分すっきり。
20
大人になれないまま年を重ねる例は日本人に特に多いのかもしれない。ネットで平然と投げつけられる差別や自業自得論や罵詈雑言。その二重人格的甘えと自己中心的な幼さにため息がでる。ある意味、小説より現実の方が先を言っているのかもしれない。2015/02/08
501
16
自身を客観的評価ができない「痛い」、同僚、アラサー3名の群像劇。各人物の章でバトンタッチするように時間軸が連続し、アフターファイブで物語が進行するのが特徴。原題の「大人になりきれない」のほうが文庫版のタイトルよりも魅力は落ちるが主題をそのまま表している。この3名に代表した「大人になりきれない」人たちの人物造形は作者の人間観察力が発揮され楽しめるものの、物語展開がやや平坦かな。それにしてもそんなに頻繁に仕事後に飲みやカラオケに行ったりするものなのか、自分の職場ではありえなく不自然に感じてしまった。 2015/01/20
モケリン
7
イタくてサムイと思われている3人の大人たち。3人とも陰口を叩かれても仕方ないのかな~と思う部分もあるけれど、彼らは彼らなりに必死なので笑えない。むしろ読み進めるうちにどんどん辛くなってくる…。そして自分を振り返る。私もイタイ人なんじゃないか?と、不安になる話でした。2015/08/10
まあ
6
選び抜かれたさえない10代が発狂しながら読むグミチョコレートパインの様に、大人になりきれてない大人を発狂させてくれる作品です。2015/07/25